Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

CineStill BWXXフィルム レビュー

はてなブログ記事を読んでいたらとても豊かなトーンの写真が掲載されていて、大変興味が湧いたので著者にもお尋ねして、早々使用する機会に恵まれたのでレビュー。

CineStill BWXXは元々はEastman Kodak Double-X(5222)シネマ用のフィルムとあってダイナミックレンジ(トーン)が素晴らしい。ハイライトからシャドーにかけてなだらかにつながる濃淡は美しく、モノクロフィルムの良さが全開に現れている。米国製。

Tearoom

普段は自家現像をするのだけれど今回は購入元のSIlversaltさんでお願いした。待つことおよそ1週間。届いたネガを見ると大変美しい。スキャンする前から思わず唸ってしまった。やはりプロが行う現像は違う。

Tearoom

 

シネマ用のフィルムではイタリア製のFerrania P30も使ったことがあるが、あちらはISO80とあって大変粒子が細かい。

Tokyo Skyscraper

どちらも大変好みの描写。

 

しかし、もはやフィルムに感動したのか、現像の素晴らしさに感動したのか分からなくなってしまった。それほどにプロにお願いした現像の仕上がりは、私がバスルームでひっそりと行なっているものとは全く異なっていた。コストの問題もあるが、ここ1番の現像はやはりプロに任せた方が良さそうだ。

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www.silversalt.jp

cinestill double-x bwxxブラックandホワイト35?x 36

cinestill double-x bwxxブラックandホワイト35?x 36

 

 

インスパイアされた記事:

Carl Zeiss Biogon 28mm F2.8 ZM レビュー

ZeissのMマウントレンズ群の中でビオゴンタイプは最も信頼のおけるレンズだろう。撮像はスカッと抜け、歪みも極限まで抑えられている。とにかく描写は素晴らしい。

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ビオゴンは 21mm、25mm、28mm、35mmがあり、この中でも28mmという画角はかなり地味な存在であるが程よく広角で、程よく遊ぶには最適なレンズ。またプライスもかなり抑えられている。

Tearoom

Tearoom

さらにこのレンズは最短50cmまで寄れるという大きなアドバンテージがある。フィルムライカなら70cmまでしか距離計がないためそれ以下は目算という話になるが、マニュアルレンズを普段から使っている方なら50cmの距離は感覚的にわかるだろう。それに28mmのF2.8では、50cmの被写界深度は前後3cmも余裕がある、多少のずれでもかなり合焦する。もちろんデジタルライカやミラーレスでのライブビュー撮影ならこの限りではない。

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最短50 cm

鏡筒も短く大変コンパクトで軽いレンズなのでM6につけっ放しでも全く違和感がない。プライスの面からも是非オススメしたいレンズだが、少々厄介なのが28mm枠がファインダー外周ギリギリのため、眼鏡をつけてM6を覗くとどうしても見えない範囲が出てしまう。もちろんこれはレンズの問題ではないけれど。

ところでビオゴン28mmといえばコンタックスのものが有名で、そちらもG2で使用したことがあるがかなりシャープ。そしてなぜかパースが強調され、より広角な印象を受けた。同じビオゴン名でも機種によって違いがあるのも面白い。機会があれば是非。

 

Leica Summaron 35mm F2.8 レビュー

前回ズマロンF3.5のレビューを書いたので、今回はF2.8について。

4群6枚のレンズ構成はF3.5と同じだが、ランタンガラスを使用したことで半段ほど明るいF2.8となった。さらにF3.5(190g)に比べ30gほど軽く、最短距離もF3.5の1mから70cmとなっており、総じてかなりのメジャーアップデートと言える。

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何より特筆すべきはその外観。鏡筒は銘玉Summicron8枚玉と同じ無限ロック付きとなっており、ロックの精度や合致した際の音などほとんど工芸品に近い。

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描写はF3.5の淡いトーンを維持したままより安定感を増した感じで、モノクロのみならずカラーでも優しい色合いを描き出す。F2.8は現代基準では相当に暗いが日中でISO400フィルムの使用には十分すぎる開放値。個人的にはF2やF1.4の大口径では特に黄昏時に設定を迷うことがあり、思ったよりハイキーになることも多いが、開放F2.8ならば迷いはない。日が暮れたらとにかくF2.8、室内でもF2.8、あとはシャッタースピードで調整すればよい。

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レトロか、現代的か。個人的にはどちらにも当てはまらない、独特の存在感のある描写だと思う。そして何より撮影中や撮影後の満足度、充実感がすごい。

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CineStillBWXX

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Tri-X 400

60年前のレンズ。初老のカメラマンが雨降るパリの街並みをこのレンズで撮影したかもしれない。そんなストーリーを想像するのも良い。

Leica Summaron 35mm F3.5 (goggle)レビュー

LEICA M3用に買った35 mmレンズで、眼鏡付きのもの。サイズが重くなる反面、M3の宿命である最短撮影距離1 mをゆうに割り込み、65 cmまで近接できる優れもの。

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M3 & Summaron 35mm F3.5

写真家の渡部さとる氏も著書『旅するカメラ』の中で、印画紙にネガを焼いてみるとトーンの表現の素晴らしさに驚いた、と大絶賛しているが、正直なところ当時はあまり知識がなかったためよく分からなかった。

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今あらためて見直すと、よくわかる。特に現行のレンズの優れたコントラストやシャープネスと比較するとなんとも優しく、優雅な画だろうか。

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やはり65 cmの撮影距離は大変便利で、フードフォトもこなせる。

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茅ヶ崎ビーチ

眼鏡付きなので速射に劣るかといえばそうでもない。キャンディッドも問題なくこなせるだろう。
上位モデルのF2.8より半段ほど暗いこと、F2.8の方がより鋭敏な描写をすることは間違いないが、デイライトで絞って街並みを撮るのならば描写に大きな差は出ないだろう。

今はもう手元にはないが、こういうレンズを本当に大切に使っていく、そんなカメラ人生を歩みたいと思う。

旅するカメラ エイ文庫

旅するカメラ エイ文庫

 

 

【35mm編】ライカMマウントレンズまとめレビュー

35mmは私にとって"視野角"と言っていいほどしっくりくる画角だ。それは谷中辺りをあんみつの甘い匂いに誘われながらぶらぶら散歩している時に出会い、見定めた景色や光景そのものをなんの苦もなく、その場でライカのファインダーで捉えることができる。一歩前も一歩後ろもない。まさにAs it is(それをそのまま)の語句が似合う画角である。

前置きはこの辺にして、これまで使った35mmライカマウントレンズをレビューしてみたい。35mm好きは多いと聞くので、参考にしていただければ幸いである。

  • Leica Summaron 35mm F3.5 (Goggle)
  • Leica Summaron 35mm F2.8
  • Leica Summicron 35mm F2 (6 elements)
  • Leica Summicron 35mm F2 ASPH.
  • Leica Summilux 35mm F1.4 ASPH FLE
  • Nokton 35mm F1.4 VM
  • Nokton 35mm F1.2 VM
  • Color skopar F2.5 VM
  • ZEISS Biogon 35mm F2
  • ZEISS Distagon 35mm F1.4

Leica Summaron 35mm F3.5 (Goggle)

あまりに有名で定評のあるズマロン。当時M3しか持っていなかった私だがどうしても35mmで撮りたくて手に入れた。

やや重いのと見た目の好みが分かれるところだが、眼鏡付きはどういうわけか65cmまで寄れるので、その意味では実用性は高かった。 肝心の描写だが、F3.5と無理のない設計のため中心部はビシッと決まる。反面周辺はやや緩い。しかしいわゆるオールドライカな描写なので未完成さは微塵も感じない。それよりもう既にこの時代にスナップ用レンズとしては完成の域に達している。たくさん撮影した思い出のレンズ。

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Leica summaron 35mm F2.8

M3をM4-Pに買い替え、35mmフレームが使えるようになってから手に入れたレンズ。描写は相変わらず完成形。切れ味鋭く、それでいてなぜか柔らかい。幾度もポートレートを撮ったが、今見ても素晴らしい。実にフィルムライカのためのライカレンズ。質感も高く、特に無限ロックのパチンという音、これは正直ニヤけてしまうほどのギミックで、往年のライカ工芸技術の産んだ、恐らくもう二度と作れない文化的財産。近年異常な高騰が続いているが、逆にこれまでが安すぎたとも言える。

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Leica Summicron 35mm F2 (6 elements)

安心安定のズミクロンの中では特に個性的なレンズで、開放のぐるぐるぼけや強烈なフレアは好みの分かれるところだが、フィルム使用がメインでライカらしさを求めるならばASPHモデルよりもオススメしたい。コンパクトで携帯性も良いが、総合的な写りではズマロンF2.8の方をおすすめする。

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Leica Summicron 35mm F2 ASPH.

私が使用していたのはフードが金属製の現行モデルの一つ前のモデルで、率直な感想を述べれば素直で優秀。デジタルを意識しているためか解像度はピカイチだし、失敗もない。全く問題がない、いかにもズミクロン的なレンズといえる。35mm選びに迷った時の安全玉として是非オススメしたいが、描写の面ではZeiss Biogon 35mm F2と肉薄しており、そちらも視野に入れるとプライスの差額で美味しいディナーを楽しめるかも。

Western style house in Japan

Leica Summilux 35mm F1.4 ASPH FLE

イカ35mmフラッグシップの名に恥じない、まあ本当に素晴らしいレンズで、よくこのサイズで開放から実用的な描写を叩き出せるなと感嘆する。全く文句のつけようがない。但し、解像度だけ比較するとZeiss Distagon 35mm F1.4 ZMが優っているので、ライカの情緒的な描写に興味がなく、果てしなく実用を求める方はそちらをお勧めする。

One morning with a friend

Nokton 35mm F1.4 VM

イカMマウントのノクトンシリーズは低価格・低開放値・低リスクの"三低"が特徴で、欧米ではプアマンズライカ(Poor man's Leica)などと揶揄されることもあるが、そこは流石に現代のレンズ、描写は決してプアではない。個人的にはノクトンシリーズは独特の収差が生み出す歪みが好みではないので使うことはないが、手軽にオールド感を楽しみたい方や単焦点ビギナーにはうってつけの"遊び玉"。おすすめ。

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Nokton 35mm F1.2 VM

低開放値はノクトンの真骨頂でいわばF1.4などは挨拶レベル。F1.2以下から本領発揮といったところだろうか。しかしながら第一印象は非常に重く大きいレンズ。さらにボケは相当うるさい。実際はF2程度に絞って使うのが実用的。結局直ぐに手放してしまった、ある意味で思い出深いレンズ。作例すら残っていない。現在IIが発売中。機会があれば試してみたい。

Color skopar 35mm F2.5 VM

オール5の優等生レンズで、毒がなく、ある意味目立たない存在。さらにカメラに付けているのも忘れるぐらい小さいため、感触すら覚えていない。とにかく描写は普通。尖ったところがない。たいへん安価なので初めて35mmのマニュアルレンズを使うなら、練習用にもおすすめしたい。もしスパイスが欲しくなったら、その時はライカレンズはいつでもあなたを暖かく迎えてくれるでしょう。

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ZEISS Biogon 35mm F2

大変優秀なレンズで、地平線まで歪みなくビシッと決まるのは大変感動した。よく比較されるのがズミクロン35mm asphだが、どちらも解像度の違いはない。ビオゴンはやや鏡筒が長いのがネックで、この辺りのハンドリングについては好みが分かれるところ。予算に合わせて両者検討するのが良い。

ZEISS Distagon 35mm F1.4 ZM

個人的にZeiss 35mmのフラッグシップモデルと認識している。開放から安定して使えて、解像度も高い。経験的にはズミルックスよりも描写性能は高い。重さとサイズがクリアできるなら大変おすすめできるレンズ。

総括

35mmは激戦区でラインナップも猛々しい。様々な選択肢があることはユーザーにとって大変良いことである。レンズは奥深く楽しい。是非参考にしてほしい。

  

 

焦点距離40mmの魅力

旅に出ようと思い立った時、いつも困るのがレンズ選び。大好きな35mmは外せないとして残り1つ、いや2つか。

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かつてZeissのフルサイズ用Canonマウントレンズを3つ海外旅行に持参したことがある。25mm、35mm、50mm。それぞれ500g超えの横綱級レンズで旅行後半ではその重さのため足を痛めた。

そんな折ライカを知ってその小さなレンズ群に魅了された。ズミクロンの35mmと50mm。これがバッグの中身。その後ミノルタCLを手したことがきっかけでセットレンズであるRokkor 40mm F2をしばらく使うことになった。

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左端が40mm。大変小さい。

初めての40mmであったが、感想としては中途半端。正直どう扱っていいのか分からない。大変小さいレンズなので持ち運びのストレスはないのだが、どうにも画角に馴染めない。そもそもM型ライカで40mmのファインダーを有しているモデルはないのでCL以外では構図を決めるのは至難。

しかしそのコンパクトなサイズと、文字通り1本で事足りる利便性に引き寄せられ、フレームが無いのは承知の上で、Nokton 40mm F1.4を入手。

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Nokton 40mm

そして40mmに慣れてくると、まさに世界が広がった。これまで避けていたローライ35mmをはじめとしてZeiss Batis 40/2 CFなど、積極的に40mmを使うようになった。

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Rollei35 tessar 40mm

私はいまだに40mmの魅力を引き出せていないが、いわばその中途半端さと利便性が魅力なのかも。

これから40mmを始める方は是非GRIIIxなどで経験を積むことをお勧めする。

 

Nikon New FM2 レビュー

謹賀新年、暇に任せて新宿のカメラ店をあちこち回り、New FM2 ボディ、そして50mm F1.4のレンズ、B&Wフィルムを現地調達して江戸川を撮影した。簡易レビュー。

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Nikon New FM2 / 50mm F1.4D

ボディと大口径レンズを合わせて3万円台。もちろん安くはない、しかしライカに慣れていると金銭感覚が全く狂う。ライカユーザーからすればこの価格はほぼプラスレスに等しいだろう。

池袋から有楽町線に乗り換え江戸川橋で降りる。以前から行きたかった東京カテドラル。冬眠中の桜並木が連なる神田川沿いをぶらぶら歩きながら目についたものを切り取る。

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江戸川橋

ファインダーは見やすく、ピントの山は非常に掴みやすい。レンジファインダーとは明らかに異なる感覚。構図やピントを正確にする目的ならレンジファインダーよりレフシステムが優れていると聞いた事があるが、納得した。

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東京カテドラル

FM2は意外に軽い。例えばライカM6にズミクロン35mmを付けておよそ900g、FM2に50mm F1.4Dではおよそ800gで100gも軽い。これは十分に違いを体感できるレベルである。巻き上げも悪くない。

気になるのはやはりシャッター音。静寂を切り裂くほどの爆音ではないが、レフ機の宿命である。個人的にはライカのカチリやコチリ、というサウンドが心地よい。

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胸突坂

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夕暮れで寒くなってきたので引き上げる。

自宅で猫を撮る。レフ機は最短距離がライカの2倍近く短い。大きな Bokeh も期待できそうだ。

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警戒中

良くできたカメラだと思う。レフ機とは思えないほどのコンパクトさと堅牢性。さらに物理シャッターが 1/4000 が素晴らしい。そして個人的に好きなセルフタイマー。露出計。魅力がたくさん詰まった名機。

NikonLeica とどちらが好きですか?と尋ねられたら、私は「オレンジとアップルの比較ですよ」と答える。しかし個人的には撮っていて楽しいのはやっぱりライカ、かな。