Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。(はてなスターは外してありますのでお気軽に閲覧してください)

ハイキーの罪状

いつもはIlford400かアクロス100のモノクロフィルムを使っているが、店頭に並んでいたNEW SEAGUL400というフィルムが気になったので購入してみた。値段も800円で、まあ一応made in UKと書かれているのでイギリス好きの私が選ばない理由はない。後でわかったことだが、ORIENTALFILM社のまあまあ新しいラインナップらしい。

M3にplanar50mmをくっ付けてとりあえず撮ってみる。人、猫、街並み。10枚程度撮ったところでなぜか違和感が込み上げてくる。なぜだかよくわからない。フィルムなのでその場で画像を確認することもできない。次のショットを構えたところで、あ!と思った。しばらくアクロス100で撮っていたたためISOが100のつもりで露出を合わせていた。もちろんM3には露出計などないし、スナップショットにわざわざ露出計を持参もしない。何れにしてもISO100だと思っていたわけだから、単純には2段オーバーということになる。フィルム撮影時はただでさえ若干オーバー目にとるのに、さらに2段オーバーなら意図せずハイキーになるのは必至で、よくいえばゆるふわ?か。

少々落ち込んだ。もちろんフィルムのラティチュードは広く、白飛びはなかなか起こらないことは経験的に知っていたが、陰影を楽しむモノクロ写真をハイキーにすることに何の意味があるかわからない。おまけにさらに悪いことに、その日は妻が髪を切ったばかりで珍しくモデルをかって出たため、こちらも日頃の練習の成果を出そうとプロっぽく指示しながら5、6枚撮影していた。もちろん頭の中では昼下がりの柔らかい光が窓から差し込みレンブラントライトのごとく表情に柔らかな陰影をつける絵を想像しながら。

気を取り直し、ISO400で計算して近所を撮影していたが、25枚程度撮ったところで我慢できず、残りの枚数を意味のない自画像で使い切った後で自家現像してみた。幸いなことに現像時間はアクロス100と同様の5分半。分かりやすくてよい。

現像後、スキャンしてみる。見事なハイキー。そのままではトーンも何もない。肌が真っ白に飛んでいるので女性的にはむしろこちらが好まれるかもしれないが、モノクロを少しでも理解している者からすれば、間違いなく露出オーバー。ミス。しかもこのSEAGUL400は、通常でもコントラストが薄いようで、それでより一層露出オーバーが目立っている。
しかし一旦デジタル化してしまえばあとはレタッチで何とでもなる。実際に何とでもなった。しかし問題はプリントである。露出オーバーのネガをデジタルほどに修正できるのか、ほとんど好奇心でレンタル暗室を訪れた。

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素の状態(レタッチ前の状態)。トーンが分かりづらい。

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デジタルなら簡単にコントラストを上げられるが、プリントで同じことをやろうとするとひどい緊張を強いられる。結局デジタルほどには回復できなかった。

露光時間を決めてテストプリントしてみる。標準的なコントラストと濃度にするためには10秒以上の時間が必要だとわかった。よりメリハリを付けるならおそらく20秒弱は必要だろう。これまで平均して6秒程度で露光していたが、10秒以上になるとやや不安になる。実際に作業したことのある人ならこの10秒がどれだけ緊張するかはわかってもらえると思う。気持ちとしては星撮りでシャッターを10秒以上開けて待っている感覚に近い。大きな違いは印画紙は1枚200円前後するということだろうか。失敗はしたくない。

結局絞りの調整などで露光時間を短くして4つ切りサイズで数枚プリントした。家に帰ってから壁に飾ってみるが、うーん、やはりハイキー。モノクロでハイキーほど情けないものはないと個人的には思う。

反省点として、当たり前のことだが、いかにフィルムのラティチュードが広くても、基本は標準露出でしっかり撮り、シャドー、ハイライトのトーンを残しておくこと。そうすればコントラストや露出は後で、それがデジタルでも、暗室でのプリントであっても何とかなる。逆にこの辺りをいい加減にしていれば回復の見込みは薄い。

ちなみに今回の件とNEW SEAGUL400とは直接関係はない。粒状感が割と強めで面白いフィルムだと思う。