Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。(はてなスターは外してありますのでお気軽に閲覧してください)

フィルムの画素と適切なプリントサイズ

先日の暗室ではブローニーと35 mmをプリントしたのだが、どうも35 mmの四つ切り(正確にはイルフォードRC小四つ切り)サイズはブローニーに比べ解像度の低下がみられたので、フィルムの画素について少し考えてみようと思うに至った。
もちろんフィルムはセンサーではないので物理的に数えられる画素数に変換することはできない。よってあくまで経験上の、机上の理論ということでご了承願いたい。また、カラーフィルムはよくわからないので、ここではモノクロフィルムに限定する。

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line/mmとピクセル

普段よく使うFujifilmNeopna Across100のデータシートをみると低コントラスト領域(1.6:1)で60 line/mm、高コントラスト領域(1000:1)で200 line/mmとある。線と線の間には必ず空白(白)の領域があるので、画素数はlineの2倍となる。よってこのフィルムは120 pixel〜400 pixelまでの画素数となる。ここでは最も低画素で計算すると;

120 pix/mm ;
35 mmフィルム(24 x 36 mm) = 2880 x 4320 pix = 12 MP(1200万画素)
6x7ブローニー(55.6 x 69 mm)= 6672 x 8280 pix = 55 MP(5500万画素)

300dpiでの引き伸ばしの限界

これで条件は揃ったので、あとは300 dpiの解像度でどこまで引き延ばせるか(引き延ばしの限界)を計算すれば、35 mmフィルムに適切な用紙サイズがわかってくる。

300 dpi : 念のため、1インチ中に(2.54 cm)に300dot詰め込んでいる解像度のことで、印刷などでは基本的な設定とされている。ちなみにwebでは72 dpiあれば基本的には十分である。

35 mmフィルム;
短辺 (2880 / 300) x 2.54 cm = 24.3 cm
長辺 (4320 / 300) x 2.54 cm = 36.5 cm

6x7ブローニー ;
短辺 (6672 / 300) x 2.54 cm = 56.4 cm
長辺 (8280 / 300) x 2.54 cm = 70.1 cm

印画紙のサイズ ;
六つ切  : 20.32 x 25.4 cm (8 x 10 inch)
小四つ切 :    24.13 x 30.48 cm (9.5×12 inch)

比較画像(グレーの背景が35 mmフィルムの300dpi引き伸ばし限界)イエロー、オレンジは各印画紙のサイズ。

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六つ切りは余裕がある。暗室でも、かなりトリミングして拡大した部分があったが、仕上がりに解像度の低下という感じはみられなかった。一方四つ切りは、特に短辺は数字上すでに限界に達している。思い切ったトリミングや拡大は解像度の低下を招く恐れがある。因みに図にはないが、ブローニーサイズは短辺長辺ともに35mmの2倍近く(面積は4倍以上)、四つ切りでもかなり余裕がある。さらに上のサイズでも全く問題ないだろう。

結論

設定解像度を300dpiではなく、250dpi、200dpiなどで計算すれば数字上の余裕はできるし、その違いは実際にプリントを比較するか、神経質な本人以外は誰もわからないだろう。また35mmのフィルムの解像度が12MPであるという前提も所詮は机上の理論であることを考えれば、四つ切りでも十分に楽しめる。

しかし個人的には四つ切りサイズはブローニーでの引き伸ばしと比較して35mmはどこかぼやけた感が否めなかった。もちろん撮影時のピントの甘さが露呈したとも考えられ、これは私の撮影技術の問題でもあるだろうが、そもそも35mmレンジファインダーでジャスピンを求める気にはサラサラなれない。ケルテスなどの写真集をみても、大きく引き伸ばした写真は解像度が低下しており、そんなものなんだなと思うようにしているし、最終的には写真の良し悪しにシャープさはそれほど関係はない。

end of the summer

夏の終わり荒川にて。6x7ブローニーで撮影。4つ切りでも素晴らしい解像度を保ったままだった。

因みに、ライフの報道カメラマンであった三木淳氏が、1950年にニコンの35mmカメラにNikkor 85mmF2のレンズでDavid Douglas Duncan氏を撮り、翌日彼に見せたのも六つ切りサイズ(8x10)であった。サイズはともかくとして『シャープで完璧なポートレートだった』とDuncan氏は回想しているが、これが四つ切りならシャープさがやや薄れ、歴史が変わっていたかもしれないな、などど空想してみたりする。

デイヴィッド・ダグラス・ダンカンとの出会い : インタビュー動画 | ニコン - YouTube