ライカM3は従来のバルナック型から改良を加えて製造されたMマウントボディの初号機で、1954年春に発売開始された。数字がややこしいのだが、M型はM3、M2、M1と続き、そしてM4から製造順が連番となる。現在はM10。
1954年当時の月給がおよそ3万円に対し、23万円で販売されていた。現在基準では200万超えくらいだろうか。高嶺の花だったのは間違いないだろう。
このカメラはあらゆる意味で既に完成されているカメラで、またユーザーレビューも沢山あるため今更だが、私が最初に購入したライカということで少し所感を述べたい。
まずその外観。とにかく美しい。距離計、ファインダー、シャッタスピードダイヤルなどは整然とグリッドに沿ってレイアウトされており、現代基準でもかなりモダンな印象を受ける。
アンティーク品と同じく、機能というよりも存在そのものに価値があり、コレクターが多いのもうなずける。
次に操作性。ライカM3にはダブルストロークモデルとシングルストロークとがあり、初期がダブルストローク。チャッチャッと親指で短く2回巻き上げる。
しかし私はどうもこれが苦手で、特に2回目が巻き上がっておらず、シャッターチャンスを逃すことがよくあった。その後シングルストロークも使ってみたが、比較してみると(失敗はあっても)ダブルストロークの方が使いやすく感じた。
ファインダーの視野率はほぼ100%のため両眼開けたままで撮影ができるが、それと引き換えに表示される最小フレームは50mm。よって現在の標準である35mmを使いたい場合は、外付けファインダーか眼鏡付きレンズが必要となる。
また撮影最短距離が90cm〜1mのため、最近のDSLRで最短30cmなどに慣れていると、テーブルフォト時などで使いにくさを感じるだろう。
そして見た目よりも大きく、重量もある。決して万能なカメラではない。購入する際は信頼できるお店でよく検討した方がよいだろう。
『ライカはM3に始まり、M3に終わる』といわれるが、その後いくつかのライカを使用した後では、この言葉はまんざらでもないなと思う。
是非。