Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。(はてなスターは外してありますのでお気軽に閲覧してください)

Push process (増感現像)備忘録にかえて

モノクロフィルムのPush process (増感現像)に興味があったので実行してみた。そもそもそれがどんなものなのか理解するのに数日かかったが、日本語サイト、英語サイト、youtubeを参考になんとか自分なりに解釈できた。

Tokyo night

Summicron35mm/IlfordHP5+400to3200 /F2.8 1/60

増感現像とは

増感の理屈は簡単で、要するに実際のフィルム感度(ISO)を増感したいISO感度として撮影すること、つまり実際にはISO400のフィルムが装填されているが、撮影者的にはそれがあたかも1600や3200のフィルムが装填されているようにして露出を決めていく。増感現像のメリットは、単純に絞りやSSを2段から3段稼げることにある。薄暗い明かりの中での動きの伴う撮影ならば、SS 1/30を1/125にあげられるだろうし、街並み撮影ではF値2.8を5.6まで絞って撮影できる。これは状況によっては大変なメリットとなり、特にSSが2〜3段上げられるのは手振れ防止や屋内スポーツなどで大変な恩恵を受けるだろう。

増感現像の仕方

増感現像は単純に現像時間を長くすればよい。いつも世話になっているThe Massive Dev Chartには増感に必要な現像時間がキチンと書かれているので、最初はそれに従えばよい。留意点としては増感現像はフィルム単位で行うため、撮影前にどれだけ増感したいのかを決めたら最後の1枚を撮りきるまで変えることはできない。
大抵はISO100を400へ、または400を1600か3200がダイナミックな変化を感じられてよいため、概ね2段分ほどが適切な増感ということになる。

増感でも不可能なこと

当たり前だが、増感現像は決して増感したいISOで実際に撮った写真と同じにはならない。よってシャドー部はどんなに頑張ってもシャドーであり、RAWファイルのように回復させることを意味しているのではない。増感はコントラストを強調して輪郭をはっきりと浮き立たせることで、シャドー部に埋もれていたわずかな光の輪郭を物の姿形として表現するものである。それと引き換えにグレイン(粒状感)が増し、もともとシャドーだった部分はベタ塗りのごとく真っ黒に、もともと白い部分は完全に白くなり、トーンの表現には乏しくなる。それでも真っ暗で何も写っていないよりマシという状況か、森山大道氏のようにコントラストを強調する絵を意図したならば効果的と言える。

作例

今回は夜の東京、銀座の撮影にチャレンジしてみた。ISO400でF2.8かF4、SSは1/60から1/125の間で撮影した。街明かりがあるとはいえ通常ならばF2 SS 1/30程度が最低ラインなので、それと比較すればSSを1/60に固定したままF2.8、場合によってはF4まで絞り込めるのは十分にメリットがあったと思われる。ただし前述のごとくコントラストが強調され、特に夜景では明かり一つ一つが点画のように町並みを構成しているような特殊な作例となった。

Tokyo night

Tokyo night

Tokyo night

Tokyo night

結論

フィルム写真の楽しみ方の一つとして増感現像をやってみるのは大変にお勧めする。