Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

Summicron 35mm 6 elements(ズミクロン 6枚玉)

初夏の日差しがほのかに降り注ぐ日曜日の午後、東京散策に出かける。ちょうどフィルムを1ロール使い切ったところで老舗カメラ屋を覗いてみる。ショーケース内に所狭しと並んだレンズ群。その中にSummicron 35mmの6枚玉をみつけた。

ズミクロン35mmは初代の8枚玉がもっとも人気だろう。ライカ通の間では『何かが違う』描写をすると評判らしいが、中古市場でも流通量が少なく、また大変高額である。その次に人気なのが3世代にあたる7枚玉。ASPHに変わる直前のモデルで写りはかなり現代的であるが、軽く小さい。こちらも流通量は少ないが8枚玉ほどではなく、プライスも同様である。

そして2世代にあたる6枚玉。2世代目といのは映画やゲームで例えると2作目ということで、オールドからニューへの開発過程における実験的な立ち位置のものが多く、当たり外れが激しい。特に宿命的に初代と比較されるため、初代が高評価であればあるほど辛口のレビューがつきやすい。この6枚玉も例外ではなく、他の2つに比べると地味な存在である。しかし何事もそうだが時代の流れとともに当時酷評を受けたものが再評価されることはよくある。多分に漏れず6枚玉も時の洗礼を経て、現在ではそこそこプレミアムでコアなファン層がいる、といった感じである。

Summicron 35mm 6 elemnts

興味本心でさっそく試撮させてもらう。シリアルでは1960年代のようで、やはり画はオールドらしいなんともいえない淡いコントラスト。しかし合焦部は実用的にシャープで、中心から周辺にかけてややフレアのかかった球面レンズ特有の柔らかいBokehが包み込む。ディテールに目を向けると決して先鋭という訳ではないのだが、全体的にはよくまとまっており決して眠い絵ではない。
イカらしい、という言葉が似合うだろうか。現行レンズのような高解像度、シャープ、優秀なフレアコントロールと同じ土俵に上がることはできないが、レンズの優劣は光学上のスペックで決まるものではない。特に趣味の場合は尚更である。大切なのはそのレンズを使いたいか、使って写真を撮りたいか、というフィーリングである。この感性に関わる部分は人によって千差万別であるため正解はない。何れにしても、私はこのレンズをすっかり気に入ってしまった。

Yanaka (old town)

ちょうど手持ちのsummicorn 35mm asphや先日借りていたZeiss biogonの果てしなく優秀な絵に飽き飽きしていた頃だったので購入意欲というか冒険心に火がついてしまった。
交渉の末、手持ちのasphを下取り、残りは銀座でランチするくらいの支払いでディール。迷いはなかった。

店を出て近くの喫茶店で一息つく。そして古くも新しいズミクロンをカメラにマウントし、フィルムを入れ替えコーヒーの香りを後にして再び東京の街を歩く。たっぷりとした日差しが落ち着く頃、綺麗な夕陽がみられるに違いない。

Yanaka, Ueno Tokyo (Old town)

 

Yanaka (old town)

↓後日ポートラで撮影:ハイライトの柔らかな雰囲気が心地よい。

Early Summer

Early Summer

追記:その後、カナダから来ているという観光客の女性にスマホを渡され、写真を撮って欲しいと声をかけられた。数枚撮った後、ちょうどいい機会なので、このカメラクラシックカメラなんですよ、モノクロフィルムなんですよと話しながらポートレートを撮らしてもらえないかとお願いをしてみた。よく考えてみると私のLeica M4-Pはカナダ製、入手したてのズミクロン 6枚玉もカナダ製である。なんたる偶然かッ。ライツカナダの神様の成せるわざである。

2枚ほど撮影して、instagramを相互フォローして終了。その日のうちに現像して送信した。
彼女からの返信『Wow! I love it! Thank you!(ワォッ!気に入ったわ!ありがとう!)』『Thank you too, Have a safe journey!(どういたしまして、良い旅を!)』

Nezu shrine(Ueno, Tokyo)

Summicron 35mm 6elements | Flickr