Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

LEICA 中望遠レビュー

レンジファインダー機における中望遠〜望遠レンズの立ち位置は微妙だ。

90mmや135mmはブライトフレーム(視野枠)が非常に狭くなること、またTTL(レンズを通して見る)ではないため、レンズを変えても画角の変化やBokehの程度など、結果の予測シュミレーションができない。またフィルムで撮影する場合は、手ブレの問題が大きく関わってくる。

望遠になればなるほどシャッタースピード>レンズの焦点距離の法則が重要になってくるため、ISO固定のフィルムでは例えばISO 400 1/15 F2.8での夕暮れ望遠撮影は、他例えぶれていても、"真っ黒写真になるよりまだマシ" という気持ちで撮影するのではないだろうか。もちろんレンズ自体の大きさも、コンパクトなレンジファインダーの利点をスポイルする可能性がある。私はこれまで3本の中望遠を使用してきた。それぞれまとめて簡単なレビューをしてみたい。

LEICA ELMAR 9cm F4 

初めての中望遠。固定式と沈胴式があるが、私が使ったのは沈胴式

f:id:coalfishsholco:20190506073834j:plain

F4で暗いレンズではあるがそれゆえに解像度は非常に高く、半世紀前のレンズとは思えない。

hydrangea

レンズは300gと重く、また沈胴式ではあるものの、デジタルライカやM6?は沈胴時にセンサー部分を傷つけてしまう恐れがあるらしく、例えセンサーなしのライカであってもシャッター幕に当たるのではと思い、私は沈胴させたことはない。面白いのはF32まで絞り込めることで、ここまで絞ると被写界深度は一体どれほどになるのか。スペックの近いZEISSのTELE-TESSAR 4/85が現行品として売られているので、デジタルやまたはフレアコントロールを重視するならそちらがオススメである。

LEICA TELE-ELMARIT 90mm

工芸品のようなローレットの美しい1 st(初期型)と4群4枚へとレンズ枚数を減らして全体的に軽量化(100g以上も)を実現した2 ndがある。私が使ったのは初期型。

Tele-elmarit 90mm fat

どちらも開放F2.8にしては大変コンパクトで、そのサイズはSUMMIRUX 50mm ASPHと同じ程度である。

Now and forever (Tokyo Shibuya)

ファインダーを覗くと枠は非常に狭く、撮影時は本当に大丈夫かと心配するくらいであったが、現像してみるとそこはやはり中望遠ならではの圧縮効果がもたらす独特の世界が広がる。

The person you wait for...(Tokyo station)

開放はやや甘く、入射光によっては盛大なフレアが発生し、絞り込んでも改善はされない。上手くコントロールできれば柔らかい表現が可能だろう。

Wall

少し絞れば解像度は非常に高く、歪みもないので建築撮影にも問題なく使用できる。

Tokyo

店頭には初期型、2ndともに同じ価格で状態の良いものがあった。どちらかというと2ndは初期型に比べコントラストも高く、clinical(実用的)として海外でも人気があり、初期型はその美しい作りからコレクターアイテムに近い扱いになっているようだが、ライカ黄金期のデザインと作りの良さに惹かれて初期型に決めた。出番の少ない90mm、使うときはビジュアル、感触共に最上の時間を共有したい。

flic.kr

Hektor 135mm F4.5

レンズの性能とは関係がないが、まず、カメラに装着したそのルックスに圧倒される。長くそして重い(440g)。しかし妙にバランスがよく、重さをあまり感じない。正直なところ100g以上軽いTELE-ELMARIT 90mmの方が重く感じる。

f:id:coalfishsholco:20190506081118j:plain

レンジファインダー機に装着して散歩用途に使うにはそこそこの気合いが必要であるが、三脚と腰を据えて慎重にポートレートなどを撮影するのならば問題ない。

Hektor 135mm f4.5

独特の柔らかさ、そして135mmならではの圧縮効果が大変美しい。開放値はF4.5と、現在の基準では相当に暗いが、光学的な計算では135 mmのF4.5は50 mmのF1.7相当の被写界深度らしい。50 mmのF1.7のBokehならばかなりぼけると言ってよいだろう。余談になるが、この時期ちょうどスーパーマーズでもあり、試しにこのレンズで火星を撮影してみた。結果として天体撮影に135mmではやはりお話にならない。調べてみると、惑星撮影は最低300 mmの世界らしい。やはり上には上がいる。

 

最後に

3本の中望遠を使用したが、望遠独自の画角の狭さや、どうしても大きく、重くなってしまうことなど、やはりレンジファインダー機での使用はかなり限定される。しかしポートレートなど、被写体が決まっている時は表現の幅を広げる意味で使用してみるのも良いかもしれない。年齢=焦点距離という法則があるらしいので、後40年後に85mmあたりを使ってみたい。