Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

世界はそれでも回っている(良性発作性頭位めまい症)

本日はカメラとは関係ない話。もしこれを見ている方がいれば、いつか自分もそうなるかもしれない、その時はこのブログを思い出して欲しい。

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Denmark

昨年末、少し鼻風邪を引いてしまった。1週間もしないうちに軽快したので、特に気にすることもなくその日の夜はいつものようにベッドに入った。 そして明け方、なぜか天井が回っている感覚に襲われた。不思議なことに、目は閉じているのだが世界が回転している。なんというか、学生の頃、アルコールの無茶飲みで天井が回るという経験をしたが、それに近い。

起き上がってもなんともないので、最初は夢かと思った。へえ不思議な感覚だったな。それでその日は普通に仕事に行き、夕方帰宅してシャワーを浴びて夕食をとった。いつもの日常。そしてベッドに仰向けになった瞬間に激しいめまいに襲われた。

明け方と同じ感覚。本当に世界がぐるぐる回る。 うーむ。まずいことになったかもしれない。やはり夢じゃなかった。めまいはしばらく続いた後、すっと消えて無くなる。そして右に寝返りを打つと再び起こる。まあとりあえず寝よう、明日になったら治っているかもしれない。ふと伊藤潤二氏の『うずまき』という漫画を思い出した。就寝。

翌朝起きて、立ち上がった時、めまいでふらついた。壁に手をつく。しばらく歩けない。 うーむ。「終わりかな」そう思った。家族には申し訳ない。このまま脳卒中で倒れて仕事も出来なくなるかもしれない。NHK大河ドラマ西郷どん』を見すぎたせいか、「その時はいっその事...」など色々考えながら、原因を考えてみた。そうこうしているうちにめまいは治った。

変だ。もし脳血管や腫瘍が原因なら事前になんらかの前兆があるだろうし、頭痛や手足も痺れるだろう。 それに半年前の健康診断では血圧は至適(最も病気のリスクが少ない)、その他中性脂肪、メタボ、BMI、全く異常なし。血糖も正常。いわゆる全く異常のない状態(40代にしては珍しいと自負している)である。

これはチェスや将棋でいうところの全ての駒が揃っている状態でイキナリチェックメイト(脳障害)されたようなもの。ねぇ、そりゃあないっしょッ!?

とにかくWebで調べてみると、出た。全く同じ症状の病気。良性発作性頭位めまい症(BPPV)。詳しくは書かないが、耳石というものが剥がれて三半規管に潜り込んで悪さをするらしい。剥がれる原因は様々で、加齢や衝撃など。サッカー選手の澤さんが発症したのと同じ病気。頭をブンブン振り回して辺りを見回すサッカーではこの症状は辛いだろう。

調べるとめまい体操(エプリー法)というのがあるらしいので試してみる。仰向けになる体操なのでめまいが起こって大変だったが、2回ほど繰り返した後で、なんと信じられないくらいに症状が改善した。それで仕事へ向かう。しかし心配なので午後、念のため耳鼻咽喉科へ行く。

検査の結果、やはり良性発作性頭位めまい症と診断された。

「積極的に頭を動かして下さい」医師が言った。「めまいが起こる方向へむしろ積極的に」

その週はかなり良好な経過を辿り、回転するめまいは起こらなくなった。血の気の失せた表情の妻も血色が戻ってきた。やれやれもう治ったかと思った矢先、2週目に再発した。世界は再び回転する。

この病気は症状がぶり返すらしい。しかし悪化することはない。剥がれた耳石が細かくなり組織に吸収されれば完治。それはひと月ともふた月とも言われる。それまでは何度か頭を振ったり、めまい体操なるものを試したり。

あれからひと月近く経つが、2週目以降、世界が回転するほどのめまいは起こっていない。しかし歩いていると時折浮遊感が現れる。ふっとつま先が地面から離れふわふわ浮き上がる感じ。人混みを歩いているとやや恐怖を感じる。完治するまで気が抜けない。

最後に、1つだけこの病気から得たものがある。もともと健康で深刻な病気をしたことのない私だが、こういう経験をすると「人には理解してもらえない悩み」や持病を持っている人の気持ちが少しは分かった気がした。生きづらさ、というものだろうか。

そうやって人は大人(人の痛みのわかる人間)になっていくのだろう。

(※一応、私は自己責任のもとでエプリー法を行いましたが、実際はどちらの耳に問題があるかなどで手法が変わってくるらしいので、自己判断せず普通は病院で診断を受けたほうがいいです。)