LEICA M3用に買った35 mmレンズで、眼鏡付きのもの。サイズが重くなる反面、M3の宿命である最短撮影距離1 mをゆうに割り込み、65 cmまで近接できる優れもの。
写真家の渡部さとる氏も著書『旅するカメラ』の中で、印画紙にネガを焼いてみるとトーンの表現の素晴らしさに驚いた、と大絶賛しているが、正直なところ当時はあまり知識がなかったためよく分からなかった。
今あらためて見直すと、よくわかる。特に現行のレンズの優れたコントラストやシャープネスと比較するとなんとも優しく、優雅な画だろうか。
やはり65 cmの撮影距離は大変便利で、フードフォトもこなせる。
眼鏡付きなので速射に劣るかといえばそうでもない。キャンディッドも問題なくこなせるだろう。
上位モデルのF2.8より半段ほど暗いこと、F2.8の方がより鋭敏な描写をすることは間違いないが、デイライトで絞って街並みを撮るのならば描写に大きな差は出ないだろう。
今はもう手元にはないが、こういうレンズを本当に大切に使っていく、そんなカメラ人生を歩みたいと思う。