Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

Leica Summaron 35mm F2.8 レビュー

前回ズマロンF3.5のレビューを書いたので、今回はF2.8について。

4群6枚のレンズ構成はF3.5と同じだが、ランタンガラスを使用したことで半段ほど明るいF2.8となった。さらにF3.5(190g)に比べ30gほど軽く、最短距離もF3.5の1mから70cmとなっており、総じてかなりのメジャーアップデートと言える。

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何より特筆すべきはその外観。鏡筒は銘玉Summicron8枚玉と同じ無限ロック付きとなっており、ロックの精度や合致した際の音などほとんど工芸品に近い。

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描写はF3.5の淡いトーンを維持したままより安定感を増した感じで、モノクロのみならずカラーでも優しい色合いを描き出す。F2.8は現代基準では相当に暗いが日中でISO400フィルムの使用には十分すぎる開放値。個人的にはF2やF1.4の大口径では特に黄昏時に設定を迷うことがあり、思ったよりハイキーになることも多いが、開放F2.8ならば迷いはない。日が暮れたらとにかくF2.8、室内でもF2.8、あとはシャッタースピードで調整すればよい。

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レトロか、現代的か。個人的にはどちらにも当てはまらない、独特の存在感のある描写だと思う。そして何より撮影中や撮影後の満足度、充実感がすごい。

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CineStillBWXX

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Tri-X 400

60年前のレンズ。初老のカメラマンが雨降るパリの街並みをこのレンズで撮影したかもしれない。そんなストーリーを想像するのも良い。