Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

LEICA SUMMARON 35mm F2.8 レビュー

前回F3.5のレビューを書いたので、今回はF2.8について。

4群6枚のレンズ構成はF3.5と同じだが、ランタンガラスを使用したことで半段ほど明るいF2.8となった。E39径のF3.5は190gで、こちらは160gと30gほど軽い。最短もF3.5の1m(眼鏡無)から70 cmとなっており非常に使いやすい。そして鏡筒の作りや外観は銘玉Summicron 8枚玉と同じ、無限ロック付きでほとんど工芸品に近い。なんというか、個人的にはほぼパーフェクトな35 mmである。

Leica Summaron 35mm F2.8

描写はF3.5の淡いトーンを維持したままより安定感を増した感じで、モノクロのみならずカラーでも優しい色合いを描き出す。

Still life

F2.8は現代基準では相当に暗いが日中でISO400フィルムの使用には十分すぎる開放値。個人的にはF2やF1.4の大口径では特に黄昏時に設定を迷うことがあり、思ったよりハイキーになることも多いが、開放F2.8ならば迷いはない。日が暮れたらとにかくF2.8、室内でもF2.8、あとはシャッタースピードで調整すればよい。

Ueno, Tokyo

レトロか、現代的か。個人的にはどちらにも当てはまらない、独特の存在感のある描写だと思う。そして何より撮影中や撮影後の満足度、充実感がすごい。もちろんZEISSレンズも大好きでよく使っているが、それとはまた別の、時間の重みのようなものを感じる。

Ueno, Tokyo

60年前のレンズ。初老のカメラマンが雨降るパリの街並みをこのレンズで撮影したかもしれない。そして大切に扱われてきたレンズが今私の手元にある。そんなストーリーを想像するのも良い。

Paddy field

しかし、開放値に囚(とら)われないことが、これほど選択の自由を、そして光量の少ない場所においては撮影時の緊張感を与えてくれるとは。やはり奥が深い。