先代クセノンを改良し、1954年から60年にかけて製造されたレンズで、最短1m、フィルター径E41、そして320gと大変重たい。M3に装着しておよそ1000g(1 kg)。ある意味重厚重量級の大変個性的なレンズである。
前玉に傷がつきやすいこともありコンディションのバラツキが激しいが、私の所有していたのはかなり状態の良い個体だったのを記憶している。しかし特に開放時の果てしないフレアとゴーストはこのレンズの宿命であり個体差で解決できるものではない。もちろんそれがこのレンズの個性でもあるのだけれど。
まだライカ駆け出しの頃?で被写体も定まらず雲ばかり撮っていた、そんな思い出のレンズ。
光の向きに注意して絞ればビシッと決まる。色のりも驚くほどしっかりしている
Lマウントということもあり当時は10万を切る価格で入手できた。ライカの値段としては大変リーズナブルだが、駆け出しのライカーにとってはM3と合わせての購入は胃の引き締まる思いで、まあ1次試験をパスしたといった感じだろうか、とにかくずっしりとした時間の重みを感じながら、えもいわれぬ満足感に浸っていたのを覚えている。
Bokehは時々荒れ、光や対象物によっては程よいクリーミーさが現れる。個人的には嫌いではない。
いわゆるクセ玉には間違いないだろう。今ならもう少し乗りこなすことはできそうだが、手放してしまった今では何を言ってもしょうがない。
Zeiss C-Sonnar 50mm F1.5とはまた違ったオールドテイストのレンズ。M3をお持ちの方、または購入予定の方は1つの通過点として、是非。