Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

焦点距離28mmと35mmの使い分け

28mmと35mmの使い分けについて考えてみる。

私は間違いなく35mmの画角が好きで、これまで撮影した写真の9割以上は35mmのレンズで撮影されたものである。これだけ35mmレンズを使っていると自然に画角の感覚が身につくため、今はカメラを構える前から空間に35mmのフレームをイメージすることができるし、もちろん失敗もしない。

ヒトが普通に見ている画角は50mmとか35mmであるとか言われるが、私は35mmが自然に感じる。一方28mmは私にとって大変広い画角で、やや違和感がある。しかしながら魅力的な画角で、構図が決まった時の達成感というか喜びは他の画角では味わえない。

今回、28mmと35mmそれぞれの画角について主観を述べるとともに、使い分けについて改めて模索してみたい。

焦点距離28mm

50mmが標準だった時代、28mmは広角、それも今でいう超広角ぐらいの認識だっただろう。現代ではGRやスマホのレンズがそうであるように、標準レンズと呼んでも差し支えなくなっている。

それでも28mmの特性を意識して撮影すると、その絵は明らかに標準とは呼べない、特別な広がりを感じる。 28mmレンズで写し出された世界は現実と非現実のちょうどギリギリのラインにあり、確かに自分はこの場に居たのだけれど、こんなに壮大な景色だったっけ、という感じである。35mmではこのような感じは受けない。

Tokyo Night

21mmや24mmほどではないが、それでも近接時には十分なパースがあり、被写体を印象付けることができる。

Rainy Day

さらに被写体の側に消えゆく、それでいていまだ生命の源を感じさせる柔らかな光をその広い画角で優しく拾い上げることができる。

Inside the Tokyo Skytree

さらにメーカー問わず同じF値ならば28mmレンズは35mmレンズより安価である。またサイズや重量も小さいものが多い。例えばライカエルマリート。現行モデルは果てしなく小さく描写も良く、35mmに比べ安価である(記事掲載現在)。

 

焦点距離35mm

35mmが広角に分類されていた時代もあったが、現在ではもはや50mmと並ぶ2大標準レンズだろう。

35mmの最大の特徴はその万能性にある。引けば広角、寄れば望遠、とまさにドキュメンタリー、スナップからポートレートまで大抵のものは35mmで撮れる。そしてある種の素直さが心地よい。冒頭記した通り、私にとっては自然に遠くを見ている画角に近く、見たままを写しやすい。

Divine Nature

M4以降、0.72のライカにおいては35mmフレームが最も視認しやすい位置にあることも見逃せない。50mmフレームは全体に対してやや狭すぎるため何か損している気になるし、28mmフレームは眼鏡使用時には周辺が視認しにくい。

問題点らしい問題点はないが、あえて言うならばその素直さと使いやすさが写真1枚の価値を下げる恐れがある。前述の28mmにおいては構図やパースに気を使うため撮影毎にやや緊張を必要とする。それゆえか、1枚あたりの写真にある種の重みができる。

もちろんこれは人によりけりだが、記録写真を撮りたいのか心情記録をしたいのかである程度メリハリをつけて撮影しないと散漫にフィルムを消費することが目的となりかねない。

One morning with a friend

まとめ

写真は引き算という言葉がある。実際、主張したい対象を切り抜く事で写真は意味を持ち始める。そういった点では焦点距離の長いレンズほど有利である。

参考までに、次の写真はエルマリート90mmで撮影したものである。

The person you're waiting for...(Tokyo station)

都会の喧騒の中、誰かを待ち続ける女性像をイメージして撮影した。もちろん被写体の許可はとってはおらず、モデルでもない。偶然に出会ったシーンである。

もしこの時カメラに装着されたのが28mmのレンズであったならばおそらく撮影できていないだろう。同じ構図なら被写体に相当接近しなければならず、ひょっとしたら不審者扱いで警備員のお世話になったかもしれない。

35mmならばもう少し引きで、少なくともパーソナルスペース内に入ることなしに似た構図の写真が撮れたかもしれない。

切り取りたい対象がはっきりしている時、もしくはその予感がする時は、やはり35mmが万能かなと思う。

28mmは当たれば大変生き生きした、躍動感あふれる写真が撮れる。相当な技術が必要であるが、その可能性は35mmよりもはるかに多い。そして28mmを使用することで、それまでマンネリだったカメラライフに光が差し込むことは間違いないし、また技術も上がるだろう。

私は最初GRで28mmを勉強した。面白い時もあればそうでない時もあった。納得する写真は100毎中数枚あれば良いほどだが、画角やパースについて学ぶきっかけになった。

28mmか35mmか、結論は時間と経験が決める。是非2つのレンズを使っていただきたい。