1932年以来構成が変わっていないゾナータイプのレンズ。C は Classic の C でも良さそうなのだが、公式には Compact の C とある。確かに開放F1.5と大口径であるにも関わらず大変小さく、そして大変軽い(250g)。そしてルックスが素晴らしい。ライカに装着した姿はとにかく理想のカメラ像そのもので、カメラ好きの多くが惚れ込むのは間違いない。
肝心の描写性能だが、旧新融合といった具合で、程よいフレア感を残しながらも中心部の合焦は快調。ボケは暴れることなく大変なだらかで、繊細。ややハイキーに撮影しても、ハイライトのディテールを保ったまま必要な光量を必要なだけフィルムへ送り届けてくれる。
それはまるで純度の高い蒸留水を作るが如く、レンズを通して太陽光を純粋で美しく品の良い光のベールへと変えてくれる。
コンパクトで大口径、描写も素晴らしいので問題点らしいものは見つからないが、最短撮影距離が90cmとやや長いため、例えばテーブル上の料理を撮影する場合はかなり後ろに下がる必要がある。しかし大抵のシーンでは困ることはないだろうし、そもそもレンジファインダーは最短70cmが基準なので、特にライカユーザーの方には今更驚くことでもないだろう。
もしミラーレス機をお使いの方で少しライカマウントレンズに興味を持たれた方は、その寄れなさに大変ストレスを感じるだろう。その場合はフォクトレンダーVM E-Close Focus Adapter(ソニーEマウント)の使用をオススメする。およそ半分、45cm程度まで接写可能となる。
同スペックで気になるのはやはりライカ純正レンズ。F1.5はズマリットが有名だが、あちらは開放描写がユニークな、いわばかなりの"クセ玉"のため単純な比較はできない。あとはズミルックス。描写的には現行のasphより、第二世代あたりの描写に大変近いと感じる。興味があればそれぞれ記事にしているので参照されたい。
いずれにしてもゾナーは銘玉ということに疑う余地はないだろう。是非みなさんも体験していただきたい(私は3回も買い直ししている)。
VoightLander VM-E Close Focus Adapter 631908
- 出版社/メーカー: フォクトレンダー
- 発売日: 2013/12/21
- メディア: Camera
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