例年3月は妻と1泊旅行をするのが恒例で、北関東を中心に車で3時間圏内を散策していたのだけれど、このご時世、やむなくキャンセルをした。
そのかわりに1人で奥日光へ日帰りで行くことにした。まだ自粛要請が出る前の話である。まあ湖の写真を撮るだけだしクラスター3要素には当てはまらないだろう。持参したのはハッセルと CANON RP。フィルムは Agfa Copex Rapid と Kodak Portra。
サービスエリアで休憩を挟みながらおよそ2時間半、日光道へ到着。午前の早い時間帯で道中はかなり空いており、いろは坂はワインディングを楽しめる程にガラガラだった。スバルの四駆は素晴らしい安定感で山を駆け抜ける。
奥日光に行くのはこれで2回目、前回はおよそ10年前。思えば生活に少し余裕ができた頃で、ナビもついていないオンボロの軽自動車で妻を乗せて湖畔をドライブした。
中禅寺湖南西の駐車場に車を停めて機材を下ろす。しかし寒い。ここ数日首都圏では暖気が流れ込んでおり春の陽気と勘違いしていた。風が吹き荒れており、念のために持ってきたコートとウィンドブレーカーを重ね着しても凍えるほどだった。しかし天気は良く、時折青空が顔を覗かせる。
三脚にハッセルを固定しファインダーを覗く。美しい。ND-1000フィルターで露光を長くし湖の荒波を鎮める。
数枚撮影したが、どうにも寒すぎる。手が震え、鼻水も出てきた。身体を動かしたほうがよさそうだ。
一旦車に戻り CANON RP を片手に散歩をしながら目についたものを切り取る。平時がどうなのかわからないが、歩いている人はほとんどいない。
少し早い時間だったが、湖畔沿いの蕎麦屋で湯葉蕎麦とおいなりさんを食べた。とても美味しい。
客は私一人で愛想の良い店主と少し会話をした。昨日はもっと風が強かったらしい。例の騒ぎで観光に影響が出ているのか知りたかったが、そんな野暮ったい事を聞くのはやめておこう。 礼を言って店を後にする。
その後再び車に戻りハッセルにポートラを詰めてカラー撮影。
実は今回初めて気づいたのだが湖周辺はフランス、イタリア、英国など外国の大使館別荘地だらけである。避暑地としてここで過ごすのだろう。そう思えば湖へと続く裏道がニースの街並みのように見えてくる。
昼過ぎに湖を後にする。気温も高くなり中心部ではかなり人が増えてきたようだ。なんだか少しホッとした。
また状況が改善したら旅館に泊まって湖に映る夕日でも見ながらゆっくり過ごしたいと思う。