Web検索で良い感じのフィルム写真を見つけた。被写体もそうだが何よりその全体的な雰囲気がいかにもフィルムぽい。しかしよく見てみると、VSCOとある。
ほとんどの方がご存知だと思うが念のため、VSCOはフィルムシュミレーションアプリで、この分野では恐らく最も有名だろう。現在デスクトップ版は廃止でスマホ用アプリのみになってしまった上、サブスク(月額、年額支払い)のみとなっているが、フィルム風写真ブームの波に乗りユーザーを着実に伸ばしている。
上述の写真、私が意外に思ったのは、その写真は間違いなくフィルムで撮られていたのだが、そこにさらにVSCOで加工しているという点だ。フィルム写真にVSCOを当てることでよりフィルムぽさを引き出す。なるほど。フィルムユーザーとしての感情論は隅に追いやったとして、雰囲気が良いのは間違いない。それではデジタル+VSCOとフィルム+VSCOでは、それでもフィルムの方がより”フィルムぽさ”が出るのだろうか検証してみた(在宅中はロクなことを考えない)。
ちなみにVSCOそのものは私は使ったことがなかったので、これを機会にダウンロードしてiPhoneで色々いじってみたのだが、これなら普段使っているCP1やLightroomでも似たような加工ができると思いすぐに解約した(画面が小さいのも使いづらい)。よってここではlightroomを使用した。
4枚のうち上からフィルム、デジタルの順に交互配置してある。これらの写真について言えばデジタルの方が綺麗で、フィルムは荒々しさがある。
さらに偶然同じ場所で撮影したものがあったので載せる。
正直なところパッと見ただけでは判断は難しい(上がフィルム)。もちろん細部を隈なく見ると、デジタルはモアレが生じているし、画質の劣化もひどい(グレインを加えすぎると尚更)。しかし比べてみると、という次元である。よってフィルムぽさは、元がフィルムだろうがデジタルだろうが加工によって十分に表現可能かと思われる。VSCOなどの加工アプリによって画の上ではフィルムとデジタルの違いはもはや無いだろう。
それではなぜフィルムか。これまでの記事でも散々書いてきたことだが、フィルムで撮る楽しみはその過程にある。被写体を見つけ光を読み、露出を決めてシャッターを押す。すべてがスロー。そして現像と印画。これらウェットプロセスはデジタルには絶対に真似できない。 頻繁に行けるわけではないが、私にとって暗室作業は映画を立て続けに4本観るくらいの充実感と発見がある。
フィルム写真にはデジタルよりもはるかに撮影者の気持ちが含まれている。フィルム選びから(カラー、モノクロ、ISOなど被写体や場所に合わせて選択する)、注意深いフィルムローディング、ファーストショット、しっかり撮れているのか露出は適切だったか、現像が上がるまでの緊張感、ネガをみたときの感動、スキャンや暗室作業でネガに吹きかけるブロアのサウンドなど。
そんなことを考えながら自他問わずフィルム写真を見るのもまた楽しいものである。
気候が良くなり太陽の時間が増えると気持ちも高まる。こんな季節はポジフィルムで濃厚な発色を楽しみたい。(写真は数年前の夏に撮ったもの)
FUJIFILM リバーサルフィルム フジクローム Velvia 100 35mm 36枚 1本 135 VELVIA100 NP 36EX 1
- 発売日: 2013/04/01
- メディア: Camera