Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

Rolleicord Vb レビュー

正直なところ世間(といってもフィルム愛好家の狭いコミュニティだけれど)ではローライフレックスの廉価版というイメージが強く、往々にしてプアマンズフレックス(poor man's rolleiflex)などと揶揄されがちなのだが、それは全くの誤解である。

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Rolleicord Vb

ローライフレックスとローライコードを使ってきた経験として、このカメラは描写、操作性、携帯性共に大変素晴らしくまとまっており、明らかにローライフレックスとは違うベクトルを向いている。よってオレンジかリンゴか、ロンドンかパリか、と同様、優劣を比較するには無理がある。

Tokyo Street

ローライコードは1933年から発売され、1962年に最終モデルであるVbをもって製造終了となる。およそ30年の間に外観や機能のメジャー、マイナーチェンジを繰り返してユーザーの要求に応えてきた。レンズは初期のトリオター、その後シュナイダーのクセナーに変更となっており、Vbはクセナー搭載。F3.5という無理のない設計のためか、合焦点の描写はシャープで、それでいて品よく柔らかい。被写体や光を変化させると、今でも撮るたびに新鮮な輝きがある。

Rolleicord Vb

The wall art

またボディはコンパクトで軽い。比較するならばローライフレックスより、状況によっては圧倒的に、勝るポイントだろう。

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ONAのバッグにすっぽり納まる

ローライコードは愛好家も多く、それぞれ好きなモデルがあるようで、特にピントリングが右側に付いており、非ライトバリュー方式の IV までは実用面で価値が高い。

私が Vb を選んだのはセルフタイマーとファインダースクリーンを交換できるということで、いつもお世話になっている Rick Oleson 製のブライトスクリーンを装着して大変明るく楽しく撮影できている。

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ブライトスクリーンは四隅も大変明るい

またストラップだが、これは公式かどうかわからないが、ピンが出ており、ハッセル用のものが取り付けられる。よってアルチザンアーティスト製の軽くて柔らかいストラップをつけて見た目にも大満足である。もちろん元々ローライフレックスのようなカニ爪ではないため、汎用のものも問題なく取り付けられる。

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完璧に装着できるハッセル用ストラップ

個人的にはローライコードの最大の特徴はその庶民的な佇まいと考えている。言うなれば廉価版ではなく庶民版である。

Quiet Afternoon

荘厳な装飾やバカラのグラスのように輝いているレンズに気を使いながら高価なカメラで撮るのもよいが、お気に入りのバックに詰め込んで、気楽にぶら下げて、スペインバルに立ち寄る感覚でラフに撮るのもまた良し。

Tokyo street

40歳という人生のターニングポイントを過ぎた頃、ふと自分の人生観について再考したことがある。思えば20代、30代と見栄を張って生きてきた。そんなある日、国道沿いに沈む夕日を浴びながら車を運転しているとふと言葉が頭に浮かんだ。

 

"目立たず、質素で、それでいてこだわりを持つこと"

 

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いつ達成できるか分からないが、ローライコードはこれからもずっと私にとっての良きマイルストーン(道しるべ)となるだろう。

気楽に楽しみながら日々を過ごしてゆきたい。

 

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