写真を撮らなくなって早数ヶ月が経とうとしている。
季節の変わり目と外出自粛のムードが徐々に写欲を蝕み、いつしかその状態に慣れてしまった。
数ヶ月前、退職する同僚の写真を撮ったきり棚に置きっぱなしのローライコード。部署のメンバーで集まってセルフタイマーで撮影をした。自宅に戻ってから久々のモノクロ現像。ネガを切り分けて、プリントした写真とともに餞別にした。寂しいけど、楽しかった。
その後もカラーフィルムをつめて色々撮ってみたのだけれど気が乗らない。フィルムカウンターはずっと前から11を指しており、最後の1枚を残して時は止まったままだ。
カメラを持たずにいても、日常の美しい瞬間には何度も出会う。その現実をそのまま肌で感じてみる。匂い、温度、光、空気の触れる感覚。
チャンスがあれば慌ただしくシャッターを切っていた頃と違って、リラックスしている自分がいる。 焦る必要はない。写真に撮らなくても、充足感は味わえるではないか。
そんな日々を過ごしていると、また無性に写真が、カメラが恋しくなる。
この点、フィルムカメラは良い。その場で撮像を確認できないため、"撮っていない気分"を、少なくとも現像までの間味わうことができる。もちろん実際に撮れていないこともあるが、正直なところ、撮れていてもいなくても良い。その瞬間に訪れる素晴らしい情景は胸に収めてある。
今の私にはこのペースがちょうどいい。
さてと、再びフィルムライカが欲しくなってきた(M6は従兄弟に譲ってしまったので)。
ライカ貯金でも始めようか。