Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

レンズの順位付けをしている中で感じたライカ、とその魅力について

在宅・時短勤務が長引くと過去の思い出に浸る時間も多くなる。思いつき企画でこれまで使ってきたライカレンズに順位をつけてみたい。そしてその流れにおいて、ライカの魅力について後半に語ってみる。

第3位 ズミルックス 50mm 2nd

なんというか、懐古主義というか、雰囲気とネームバリューだけで投票してしまったのが本音。写りがずばぬけて良いわけでもないし、どちらかというと標準そのもので、開放にいたっては他の大口径(現行)と比べると大変甘く、フレアもすごい。けれどもこの質感、そして重さ。手のひらにのせてみると、大きな球面レンズが重力で引っ張られているのが感じられる。それに抗(あらが)うかのような筋肉の緊張が、ある種の安心感を抱かせる。ルックスもいい。適度にカーニングされたHelvatica調のフォントが、当時('70s)のカウンターカルチャーを明示するかのようで、アースカラーを身にまとったヒッピーをコダックで撮りたくなってくる。一度は手にしたレンズだが、なぜか手放した。けど今でも大切に思っている。

 

第2位 ズミルックス 35mm 現行モデル

3年前に入手して以来、Mボディーが無くなっても、ずっと持ち続けているレンズ。手放す理由がない。私にとっては完璧なレンズ。35mm F1.4 なのにこのサイズで開放から素晴らしい描写。といっても解像度は高すぎず、ライカ的な緩さもある。ノクトン、ディスタゴンも併用してきて、どちらも大変優れているレンズだが、あえてこのレンズを手放してリプレイスする必要性は感じられなかった。

実はこのレンズ、所有はしていたけどこれまであまり使っていなかった。最近になって再び魅力に取り憑かれているところ。まあ今後非常時にはどうなるか分からないけども、できるだけ長く、大切にしたいレンズ。

Off Street

第1位 ズミクロン 35mm /50mm (All version)

ここでは年代というか世代は特定しない。全てを使ってきた訳ではないが、どの世代も魅力があり、描写は例外なく素晴らしい。そしてズミクロンはライカMボディとの相性が抜群で、装着した時のバランスが完璧すぎる。ルックスはレンジファインダー黄金比を完全に満たしている。ほんと、もうこれでいい、と思わせてくれるレンズ。私はフィルムユーザーなのでISO50でも手持ち撮影できるようにズミルックスなどの大口径を選ぶ傾向があるが、ISO問題がクリアできるならF2のズミクロンはプライス、性能共に最も合理的な選択肢だと思う。

今はもう所有していないが、このレンズはできるだけ見ない、触らないことにしている。 だって、また欲しくなってしまうから。

 

イカの魅力

私は中途半端なライカユーザーなので、ライカの魅力を語るにはまだ経験値に大変乏しく、また勘違いをしている点も多々あると思うが、その上で、私なりのライカレンズの魅力について少し語ってみたい。

前述したように最近になってズミルックスを再び使い始めている。入手当初はその興奮のあまり、なんて素晴らしい写りだ、と一辺倒なレビューばかりだったが、同スペックのディスタゴンやノクトンを使っていくうちに、どうもそうではない、写りの良いレンズは他にもある、これは何か別のものがあるのではないか、と思うようになってきた。

Dear cat

イカレンズの製作工程はほとんどが手作業ということだが、一見するとこの黒々(銀々)とした精巧な作りのレンズの中には完全さ、もう少し強調して、完璧さしか詰まっていないように思われる。実際にマテリアル、デザイン、技巧、マーケティングは超一流であるし、そしてなによりライカユーザーの誰しもがその高額なプライスと引き換えに潜在的にそれを願っている。ライカは完璧でないといけない、いや完璧であるべきだ、と。

私はむしろライカレンズの魅力はその不完全さと滲むような優しさにあるのではないかと考えている。 完璧さの中に、不完全さを見出すのは簡単なことではない。それは先入観と期待への裏切り行為であり、場合によっては心身の磨耗を伴うこともあるだろう。そうして禁断の領域に足を踏み入れ、予期せぬ秘密を発見した者に残された道は二つ。手放すか、愛するか、である。

Leica M3 & M4-P


人の作るものに完璧な物は存在しない。ライカも同様である。そしてライカはその不完全さを100年以上にも渡る卓越したマーケティングによってたまらなく魅力的なものにしてきた数少ないメーカーなのかもしれない。

sentimental value

 

時雨降る落ち葉の絨毯の上、左手の人差し指の縁に触れるピントリングの冷たい感触と写真乳剤に刻まれるライカの世界。 現像を待つ間に飲むハイビスカスティーの甘酸っぱい香りとともにネガから溢れ出してくる優しさ。

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Elmarit 28mm

ギスギスした世の中に、ほんの少しでも心の豊かさをもたらしてくれるレンズとカメラ、それがライカなのかもしれない。