Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

少し休息が必要かもしれない

海外から戻ってきてめっきり写欲が失せてしまった。 理由は分からないが、率直な気持ちを言葉にすれば撮りたい対象が無い、ということになる。

家族(といっても妻と猫の3人暮らし)の写真を撮るのは大変意味のあることだが数年後に見直して「なんか若いねー」程度の楽しみならば年に1枚くらい撮っておけば良いと思うし、家の近所については救いようがなく、そもそも東京郊外の都市においては基本的に撮るものは何もない。アーウィットのように近所を歩き回り犬の面を被った(正確には犬そのものなのだが)被写体を撮影するチャンスや度胸も私にはない。

Milan, Italy

海外のフォトグラファーのブログに書かれていた。

「普段は滅多に写真を撮らない。しかし撮るときはフィルム100ロール近く撮る。そしてその期間は1年のうちわずか1ヶ月程度」

 

つまり国内、海外を含めた特別な遠征を年に1回程度するということだろう。なるほど、そういう楽しみ方もあるのか。

 

一方ソール・ライターは「写真を撮るのに地球の裏側まで行く必要はない」と述べていた。実際ライターはニューヨークを拠点に、自宅周辺数ブロック内を散歩しては素晴らしい写真を残してきた。

そりゃニューヨークに住んでいれば、ね、というツッコミは抜きにしても、写真を撮るのに遠出する必要はないという考えには只々感心する。

 

結局自分自身の問題なのだろう。ある被写体を芸術と呼べるレベルまで引き上げることのできる写真家はプロ・アマチュア問わず間違いなく存在しており、そういう人はただのゴミ箱を撮影しても「なんか、良いよね」と人々を感動させることもできる。

それを探し出すだけでも写真集やWebの写真(もちろんはてなブログの皆さん)をみるのは楽しいものであるし、それらの刺激を受けてまた写欲が戻ってくるといいなと思う。

Château de Chillon (Chillon Castle)

さてと、季節の変わり目。少し休息が必要か、な。

 

共感した記事:

Paris

Paris

 
Saul Leiter: In My Room

Saul Leiter: In My Room

 

X線によるフィルムへの影響(フィルムカメラ)

所用により日本を離れていたことは以前書いた。 持参したカメラはデジカメではGRII、フィルムカメラはHasselblad 500CM、そして前回のRollei 35である。

カメラの選択には1ヶ月かかった。せっかくなら中判で撮りたい。しかしサイズや重さの問題がある。35mmもいいが、デジカメは必要だろうか、などなど。まあよくある悩みだ。

Venezia

フィルムは合計で30ロール近く持って行った。そして一番懸念していた事はX線検査である。

これまで海外にフィルムを持って往復した経験から(写ルンです)、2回程度のX線でフィルムに影響があるとは考えにくいが、そこはWebの悪いところで、検索するとやたらと不安を煽る。 そして今回は空路の移動もあり不安は募る。

結果としては成田はスルー(検査員は非常に淑女的に振舞ってくれた)、その他は全て照射(有無を言わさず通された)、合計で3回。もっともフィルムは輸入したものもあるため+1回程度の計4回だろうか。

Venezia, Italy

参考までに各空港での検査について備忘録

成田空港では前述の通り、女性検査員にフィルムの袋を見せると、あーといった感じで「目視確認したのでOKです」と言われスルー。さすがカメラ大国日本。素晴らしい。

次にオランダスキポール空港入国時。ジップロックに入ったフィルムを見せて説明したのだが、全く無理。そしてX線機器通過後、個別に呼ばれた。

なんでもHasselbladをカバンから出せと言う。もちろん従った。検査員は特殊な器具でHasselbladの表面をナメるように検査する。どうも暗室部分(ファインダー)に麻薬か爆発物が隠されていると疑っているようだ。ヒスパニック系の真面目そうな青年だった。そして“OK”とだけ言われて入国。

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次はドイツ出国時。ドイツもカメラ大国なのか、検査員が人間らしい反応をしてくれた。鼻立ちの整った若い女性だった。ISOはいくら?と聞かれたので400と答えると初老の男性検査員を連れてきた。話が通るかと思いきや、有無を言わさずX線の中へ放り込まれた。さらに再び個別に呼ばれ、Hasselbladとケースに入ったRollei35を見せろという。

Rollei35はドイツ製である。革のケースから出されたRollei35を見た時、その男性検査員が少しニヤけたのを私は見逃さなかった。そしてスキポールと同じく機器を当て、ナメるようにハッセルを確認。問題なし。これで終わりと思いきや妙な質問をしてきた。

 

「このフィルムはどこで買った?」「日本」と私。「1個いくらくらいだ?ユーロで答えてくれ」

 

これは世間話ではなく、こいつは本当にフィルムカメラでフィルムを使って撮っているのか、その確認だろう。麻薬の運び屋ならフィルム1個の値段を答えられないはずだ。 頭の中で換算するがいきなりなのでかなり難しい。しかもフィルムのブランドや種類によってかなり幅がある。「8ユーロ(およそ950円)」「ノーッ!!」と即答された。ドイツ人らしい返答である。

高いのか。しかしドイツ国内のフィルムの相場なんて私が知るわけがない。それで「4ユーロ(500円)」「ノ、オ、アー、イエス(ヤー)」と口ごもった初老の検査員に「日本じゃフィルムは高いんすよ」と答えるとなぜか笑顔で両親指を立てて「OK」と言われ終了。

Santa Maria delle Grazie

最後はスイス出国時。セキュリティーチェックに搭乗者は誰1人おらず検査員が暇だったため、説明を聞いてくれた。そしてまた別の検査員を引き連れてきて「ISOは?」と聞かれた。答えると何故か怒りはじめた。

「ヘイッこの機械はな、ISO 4000まで平気なんだぜ」「だからカバンをとっとと通してちょうだい」と言われ、やはりX線照射された。

Venezia

以上が全容である。そして肝心の影響はといえば、あるといえばあるのかな、といった感じである。しかし、こんなものかなと思えば確実なX線の影響は見つけられない。

Venezia, Italy

しかしCIneStillの現像の関係でSilversaltさんからかなり興味深い返答が返ってきた。

フィルムの濃度(fog)の値が高い、X線や非常に暑い場所にフィルムを置いていませんでしたか、とのこと。素晴らしい。さすがプロ中のプロ。数値として出されるとやはりX線の影響はある、と考えられる。(ちなみにX線をうまく避ける方法は、ISOが6400である事、そして(事実でなくても)自分は職業的フォトグラファーのためリスクは避けたい、と伝えれば良いとアドバイスまで頂けた)しかし、繰り返すが実際目に見えて影響を感じる、とはならない。

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4秒開いた。あえてそのまま掲載した。この白いモヤはX線なのか?解らない。

全体的な感想をいえば、海外に重たいフィルムカメラを持っていく、さらにフィルムの扱いに気を使う(夏場の暑さとX線など)事は若干ストレスではあったものの、ほとんど諦めに近い気持ちだったため後悔はない。

つまり、旅に持っていくカメラは何か、軽いのが良い、コンパクトが良い、レンズは広角1本で良いなど色々なアドバイスがある中で自分が本当は何で撮りたいのかはとても大切な事である。

私がハッセルを持って行ったのはハッセルで撮りたかったからで、もっと軽いローライコードの方が体力的には楽だっただろう。しかも絞り込んで撮った写真の違いは殆どないにも関わらずだ。そもそも中判カメラなんて持って行かずライカニコン1台で良かったとも言える。

しかしあの6×6のスクリーンから見える美しい街並や景色を独特のボシュんという音で切り取ってみたい。ただそれだけのために麻薬の詰まった箱と間違えられてもハッセルを持参した。

Lac Léman (Lake Geneve)

Rollei 35はスナップ写真として35mmで撮りたい気持ちで持参した。思惑通り、とりあえず1枚という場合に重宝した。GRIIもしかり。こちらは夜景や露出計代わりとして役立った。

いくつかの出会いもあった。Hasselで撮影していると白人の若いカップルが一眼レフで写真を撮ってくれないかと頼んできた。撮影はうまく行ったのだが、この後、観光客相手の商売でそこら一帯を縄張りにしている色黒の輩に「俺の仕事をとるな」とすごまれた。無視したけど。

湖ではフランス人の老夫婦に撮影を頼まれた。構図を意識して奥さんのスマホで撮影。良い感じの老夫婦だった。私もいつかこうなりたい。

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この城を背景にして老夫婦を撮影。大変喜んでもらえた。

 今回旅行に出る前、およそ15年前にニューヨークへひとり旅した時のネガが見つかった。スキャンしてみると見事な景色が色褪せぬまま存在していた。同時期に撮ったoptio s60というデジカメの画像は現在のスクリーンでは親指ほどの大きさの解像度しかない(まだSDカードのバイト数が少なく、数多く撮るために設定を400ピクセル程度のSサイズにしていたため)。引き延ばすことも不可能だ。またハードディスク間の移動によるデータの劣化も起こっている。

それをみた時、やはり大事な写真はフィルムで撮ろうと決めた。フィルムで撮っておけばその時代に適したスキャンのサイズでいつでも閲覧可能だからだ。

 

さてと、次はどこへ、そして何(カメラ)を持って行こうか。

Milan Central Train Station

Rollei 35 レビュー

所用で日本を離れていた。旅の記録についてはおいおい書くとして、Rollei 35を持って行ったので、旅カメラとしての実地レビュー。

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Rollei 35 Germany

Rollei 35シリーズはいくつか種類あるが、私の使っているのはベーシックなモデルの35。運よく?Germany製。とにかく軽く、小さい。35mmフルサイズではCONTAX T3についでコンパクト。

Restaurant Les Armures

レンズはCarl Zeiss Tessar 40mm F3.5で大変解像度は高く、素晴らしい描写をする。この他にF2.8のSonnarやトリオターもあり、それぞれ描写傾向がやや異なる。B35のトリオタも所有していたが、やや柔らかい雰囲気だった。

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Milano, Italy

F3.5は決して明るくないレンズだが、ISO400 1/30 F3.5程度でも夜の盛り場?なら問題なく手持ち撮影できる。

Venezia, Italy

しかし露出はいいとして、問題はやはりピント合わせだろう。

このカメラを有名にしたのはコンパクトさと優秀なレンズ、そして玄人好みのピント目測という点であることは否定できないと思う。二重像やレフのピント合わせとは大きく異なる、距離による測定。信用できるのは己の距離感のみ。

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F3.5

最初私は無理だと思った。それが入手をためらっていた理由である。しかし失敗を重ねていくごとに精度は徐々に高まる。そしてゾーンフォーカスについて知識があれば日中の撮影で苦労することはない。ISO400 F10 1/140で1 mから無限遠までカバーする "写るんです理論(ただし焦点距離32 mmの場合)" と同じく、ISO 400 1/250 F16 に合わせると1mから無限遠までピントが合う。この状態なら構図のみでシャッターを切れるので、MFで合わせるよりも遥かに早い。

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F16, Lavaux, Lausanne, Switzerland

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F16,Lavaux, Lausanne, Switzerland

しかしやはり夕暮れ時など絞り込めない状況ではこの方法は使えない。前述の距離感覚のみが頼りになるが、どういうわけかこの作業がやたら楽しい。

撮りたい被写体を見つけたら標準の狭間の焦点距離40 mmの画角をイメージしながら距離を目測する。慣れてくると被写体を見つけた時点で左手はピントリングを回している。 いやむしろピントリングを先に回して距離をセットし、体はその位置へ移動するといったほうが良いだろうか。まさに撮影者がカメラを操作するのではなく、カメラが撮りたい被写体へ撮影者を誘導する。そんな擬人化が起こる。

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F4

操作については一定のルールがあるが、Hasselbladと同じく撮影した後は必ず巻き上げる癖をつけておけば大きな問題とはならないだろう。

今回海外という比較的長距離移動の多い旅となったが、Rollei 35は軽さとサイズの点で間違いなく最良の選択だったと思う。M6を持っていくことも考えたのだが、Hasselbladを持っていく関係で重量オーバー。少し後悔をしたが、帰国してネガをみると、まあそんなことはどうでも良い事に思えてくる。Rollei 35は素晴らしいカメラである。

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Venezia, Italy

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Geneve

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Geneve

最後にB35との比較について。 私が最初に入手したモデルはB35である。廉価版との事だが工作技術やマテリアルは一定水準を超えているためチープな感じはしなかった。あちらはトリオター装備でまあテッサーより若干柔らかめだが解像度は高い。しばらくB35を使ってみてやはりどうしても本家35を触ってみたくなった。そして触った感じ35が明らかに重く、巻き上げの感触も良好。なんというか機械式時計に似た高級感がある。 描写に違いはなく、価格は35がB35のおよそ倍、そして重い。どちらが良いかはフィーリング次第だろう。私は多少重くても35の凝縮した質感、巻き上げの感触などが気に入った。

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皆さんも是非。

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Rollei 35 silver

Rollei 35 silver

 

 

 

CONTAX LAST DAY : G2 レビュー

T3、T2に引き続き、今回は最終回ということで CONTAX G2 について簡易レビューしてみたい。

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CONTAX G2

14年前(2005年)に製造が終わった製品なので今更感はあるが、一応簡単に説明しておくと、G2はGマウントレンズ交換式AFカメラで操作は全て電子化されている。一応レンジファインダーの部類には入るとしているが、ライカとは180度異なる。そもそも2重像のスピリットイメージもない上に、レンズは全てAF仕様でマニュアル操作できない。それでもその天井を削ったスタイリッシュなフォルムは like a LEICA(ライカのような) と表現しても差し支えないだろう。

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電子化という点を除けば、軍幹部のSS調整ダイヤル、レンズに絞りリングが付いていることなど往年のフィルムカメラの趣は十二分に残っている。ファインダー越しに合焦を視覚的に確認できないのがやや不満点ではあるが、AF精度は概ね良好で、合焦すれば素晴らしい絵となる。

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Zeiss Biogon 2.8/28 T*

カメラも素晴らしいが、特筆すべきはやはりこの素晴らしいGマウントレンズ群ではないだろうか。現状 Sonnar 45 mmと Biogon 28 mm が手元にあるが、これまで使ってきたZeissレンズのどれとも似つかない写りをする。例えば Biogon 28 mmはMマウントでも使っているが、GマウントのBiogon は何か違う。線が太いだとか、粘りがあるとか、言葉にすることは可能だが、あえていうなら画の存在感と重厚感がMマウントと異なる感じを受ける。

Cat & bed

Sonnar 45 mmも大変素晴らしく、このレンズを使いたいがためにG2を手にする方もいるようだが、その気持ちよくわかる。開放F2での合焦点のキレは見事で品があり、Bokehはトーンを残しながらもなだらかにつながっていく。

HERB

T3, T2と使用してみて、個人的には一番しっくりときた。手にした質感、ホールディング、駆動音など、少なくとも現状はライカと同じかそれ以上のフィーリングを楽しんでいる。レンズの種類が少ないのも良い。邪念に囚われることがなくなり撮影に集中できるだろう。

あらためて言うまでもないことだが、ライカだけがカメラではない。ライカは長年に渡ってその素晴らしい職人技術と類稀なるマーケティング戦略によって現在の王国を築き上げ、今もなお人々を魅了し続けている。

そんな夢のような王国の城門を出て少し足を伸ばして旅をすれば違う国の、違った街の風景に出会えることだろう。

 

機会があれば是非。

CONTAX G2

CONTAX G2

 

 

CONTAX DAY 2 : T2 レビュー

前回に引き続き、今回はCONTAX T2 についてレビュー。所感としてはかなり頑丈なカメラで、実際厚みのあるチタンが使われており、重量もサイズから予測されるより重い。とはいえフルサイズレンズ1個分(およそ 300 g)程度の重さなので、持ち歩きに困ることはない。個人的には T2 はサイズが大きい分だけ、ホールド感が T3 よりも良好だった。

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T3と同様、沈胴式レンズで電源と同時にレンズがニュイイッとせり出してくる。レンズ鏡筒には絞りリングがあり、回すと絞り羽根が実際に動く。これは T3 と大きく異なる点で、なんというか直感的な操作ができるので大変好ましい。さらに T3 で煩雑だった各種設定もT2の方が簡単にできる。ユーザビリティとサイズをトレードオフしたT3を選ぶか、マニュアルの操作感を残した T2 を選ぶかは完全に個人の好みによるが、これまで軍幹部のダイアル操作に慣れている方には T3 よりも T2 をオススメしたい。

Road graffiti

レンズはSonnar 38 mm F2.8。個人的には、このレンズの焦点距離が T2 の最大の魅力であり特徴だと思う。

描写は独特な、個性的な写りをする。F2.8で最短 70 cmのため Bokeh などを狙うのは難しいが、それでも立体感のある写りをする。コントラストは T3 の Sonnar より低めで、モノクロフィルムと相性が良いと感じた。

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問題点としては、AFがイマイチで、よく外す。これは T2 ユーザー共通の悩みのようでWeb上では “T2ピント合わせのコツ” なるものが散見される。 ファインダーを覗くと実線と破線のフォーカスポイントがあり、破線は近距離用だが遠距離撮影でも破線を被写体に合わせると上手くいくらしいが、やはり外すときは外す。しかし日中で絞って街並みや風景を撮るのならば全く問題にはならないだろう。

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目に合わせるなど、詳細な合焦は難しい。

カメラの質感は非常に高く、所有する価値や喜びはあると思う。しかし一応30年近く前の電子機器なのでプライス的なもの(高騰中)と検討する必要があるだろう。海外レビューやフォーラムを読むと皆 T2 や T3 に大変興味はあるが故障時に対応できるストアがないため尻込みしているとのこと。この点日本は大変恵まれており、長野県のリペアサービス諏訪さんは今でも現役でCONTAX製品の修理を行っている。年々パーツ等が減って修理をお断りすることもあるらしい。そういった意味ではCONTAXのカメラは今買い時なのかもしれない。

 

フィルムで撮ることについて

T2 やT3 が発売された時代はまだまだフィルム全盛期で、ちょうど今スマホでパシャパシャと撮影しているノリで気軽にフィルム写真を撮影できた。コンパクトカメラの登場によって実際にそれまで写真に興味がなかったエンドユーザーの裾野を広げた功績はやはり大きい。

現在ではフィルムを使った撮影はもはや骨董趣味に近く、フィルム価格の高騰も足枷となり気楽に何ロールも消費できない。だからこそフィルムで撮る時は信頼できる機材に腰を据えてじっくりと撮りたいと思う、と T3 と T2 を使ってみて再確認出来た。

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CONTAX T2 / Kodak Portra 400

機会があれば是非。

京セラ Contax T2 チタンシルバー 【定価120,000円】

京セラ Contax T2 チタンシルバー 【定価120,000円】

 

CONTAX DAY 1 : T3 レビュー

チタン外装されたボディに Zeiss の銘玉 Sonnar が装備された超プレミアムコンパクトカメラ。友人の妻の親父さんが山岳マニアでカメラを沢山持っておりこれはその1台。

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CONTAX T3

以前から気にはなっていたが、今回試用できる機会に恵まれたのでレビュー。おまけとして同じスペックのSummaron 35mm F2.8との画像比較も試みた。

本当に小さく軽い。しかしチタン素材のため重厚感は十二分に感じることができ、いい意味で予想を裏切られる。

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CONTAX T3

電源スイッチはついておらず、ボタンを押しながらダイヤルを P へ回すとギュニュイイッといった感じでレンズが飛び出してくる。基本はPモード、そして絞り優先モードのみでISOはDXコードの自動読み取り、シャッタースピードは露出に応じて自動的に設定される。

AF 精度はかなり良好で、少なくとも試し撮りした(フィルム2ロール)において、ピントの中抜けは0%であった。

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CONTAX T3 / Fujicolor 100

画質についてはまあとにかく素晴らしいの一言。本当にこんな小さなレンズからなぜこんなにリッチで解像度の高い画像が生まれるのかわからない。さすが Zeiss。そして最短35 cmも驚異的で、おまけに近接撮影でも画像の破綻がない。まさに"寄れるは正義"を地で行く名機。

 

せっかくなので同スペックのLeica summaron 35mm F2.8と画像比較をしてみた。フィルムはilford HP 5 PLUS、絞りは両者ともに同じ値、露出についてはT3はSSを設定できないため、測光時にT3で表示されたSSの値をLeica M6に設定して撮影する形とした。本当は三脚を使いたかったがそこまでガチでやる必要はないと思い、全て手持ちで撮影した。

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CONTAX T3

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Summaron 35mm F2.8

絞りF4の作例。正直見分けがつかない。両者ともにピント面の立ち上がりを含め素晴らしい解像度である。しかしSummaronの方がはるかにオールドであることを考えると、これはT3の小さなレンズの性能よりも、むしろライカレンズ素晴らしさをあらためて証明する結果となった。

とはいっても周辺を隈無く調べるといくつかの差異はある。まずT3の方が周辺までキッチリ描写しており、明らかに性能の高さがうかがえる。一方でSummaronは周辺がやや緩い。F5.6あたりでも緩さは残る。よって撮影画像を俯瞰で眺めてみるとT3の方が現代的にビシッとキマっている。

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T3 | Summaron(右)

F5.6 :

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CONTAX T3

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Summaron 35mm F2.8

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T3 | Summaron(右)

F2.8 :

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CONTAX T3

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Summaron 35mm F2.8

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T3 | Summaron(右)

暑い日で我慢できずに思わずグイッと飲んでしまったので、2枚目はコーヒーの量が減っているが、開放での作例ではBokehはSummaronがややうるさく、T3が素直な描写に感じる。何れにしてもやはりSummaronの方が周辺は緩い。

ただ個人的にはライカレンズの魅力はこの辺りにあるのかな、と思う。つまり現実をあまり写しすぎず、観る者の想像力に委ねる、といった感じで。周辺を曖昧にして主題(中心部)を浮き上がらせてドラマチックに表現するように。

まあとにかく1週間借りて例のごとく良い値段で譲ってもらえるという話になったのだが、今回は丁寧にお断りした。若者を中心に人気の機種で実際市場価格はM型フィルムライカが買えるほどになっているので悪い話ではなかったのだが、なぜかしっくりこない。最高に小さくて最高に画質が良く、自動で撮影してくれるのにも関わらず、個人的には面白さを感じなかった。まあ露出補正するにもボタンを押して液晶画面で行うので操作が少し面倒ということもあったが、どちらかといえば相性の問題である。

 

機会があれば是非。

 

FILM CAMERA STYLE vol.4 (エイムック 4291)

FILM CAMERA STYLE vol.4 (エイムック 4291)

 
CONTAX T3 (チタンブラック)

CONTAX T3 (チタンブラック)

 

レンズのカラー選びについて思う事

最近シルバー(クロム)のレンズとブラックボディの組み合わせが気に入っている。

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Zeiss C-Sonnar 50mm F1.5 ZM

これまでブラックボディにはブラックレンズが最良であると、ある種の先入観(目立ちにくい)を持っていたのだが、ズマロンなどライカのオールドレンズをブラックボディに合わせると中々雰囲気があって良い。

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そもそもほとんどのメーカーは色の選択肢が限られていて、大抵はブラック、高級モデルになると白など一目でそれと判るカラーをしている。ライカMマウントレンズは複数のメーカーがブラックとシルバーの2色展開をしている。せっかくなのであえてシルバーを選ぶのも良いかもしれない。

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Zeissに関していえば過去に2度ほど(現在も)シルバーを使ったことがあるが、クロムの鏡筒にブルートパーズのような青色(言い過ぎか)で掘られた距離計など、品があってとても良い。正直なところ、光学的には全く違いはなくとも雰囲気としてはブラックよりも好みかもしれない。

 

歴史的にはライカのボディやレンズはクロムのみであり、ブラックの方が珍しかった。富裕層相手の高級品であったカメラはシルバー食器と同じような、”一目見てそれと判る輝き” が必要だったのだろう。

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戦争が始まると反射を抑えるという名目で黒い塗装がなされ、戦後はそれまでの豪華絢爛な貴族社会の崩壊、質素で素朴なロハスライフやヒッピー、モードの流行とともに ”目立たない” ブラックのカメラとレンズが広く大衆に受け入れられるようになった。 つまり現在においてはレンズやボディがブラックでないといけない理由は、スタジオなどのストロボ多灯による意図せぬ散乱光を防ぐ目的以外では、無いわけだ。

 

アインシュタインの名言に、『常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう。』『人生を楽しむ秘訣は普通にこだわらないこと。普通と言われる人生を送る人間なんて、一人としていやしない。いたらお目にかかりたいものだ 。』とある。

 

たかがレンズやカメラのボディにこんな大げさな引用は全く必要ないが、自分の直感に従って好きに生きれたらどんなに良いだろう。

Tokyo Night

まあ、結局私も歳をとったのかな、と思う。日常生活においても若い時に比べカラーの選択が多くなり、身に付けるものが段々と明るくなっている。あと20年ぐらいしたらグレーヘアに白シャツ、チノパン、サンダルでライカ片手に新宿パークハイアットのニューヨークバーで昼間からビールでも飲みたいものである。