Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

1億画素に想いを寄せて

Nikon D850が発売され、あちこちでレビューが散見されるようになった。4575万画素の高画質の文字を目にするたびに肩が痛くなる。文字通り肩のあたりがジワリと重くなる感覚だ。
これまでa7RII、RX1RIIを使用し呆れるほどの高画質と、それと引き換えに耐えなければならない膨大なファイルサイズを経験してきた。非圧縮RAWで1枚あたり80MBにものぼる。パソコンの動きが鈍くなるたびにマウスを握る手、上腕、肩に力が入るのだろう。私にとってa7RII、RX1RIIの思い出はひどい肩こりとセットとなっており、それが直接の原因とは言わないが、両方とも今は手元にない。

現在D700や5D1などの低画素機をメインで使っている。懐古主義と言われればそれまでだが、一度てっぺんを覗いたから分かる。間違いなく自分には低画素機がお似合いだ。

高画素機が出るたびに例えば自宅の猫を高画素で撮る必要があるか、ないかが議論されることがある。要するに一般のユーザーにとって高画素が必要なのかどうか。個人的には高画素はロマン(夢)と考えている。かつてレンズメーカーがF値を下げることに尽力していたように。必要・不必要論になると人類が開発してきた全ては結局不必要となってしまう。

現在知る限りではPhase oneのXF100MPデジタルバッグが100MP(1億画素)で最高峰だと思う。RAWのサンプルも配布しているので興味があったらぜひダウンロードしてみてほしい。中判サイズではあるが、この先どれほど解像度をのばせるのか。35mm版で1億画素が可能なのかどうか。夢は広がる。

XF 100MP RAW Sample images

 

www.phaseone.com

ニコン ニコンデジタルカメラ D850

ニコン ニコンデジタルカメラ D850

 

 

 

ストラップあれこれ

なんでも福山雅治さんが愛用しているというOP/TECH USAのストラップが使用3年目をむかえほとほとくたびれてきたため、今回新調しようと思うにいたった。

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私は基本的には手巻きでストラップを使っているためクッション性よりも軟度、取り回しの良さを重要視する。早速コーヒーを片手に検索する。お洒落なもの、機能性に優れたもの、様々なストラップがあり、カメラ、レンズ、三脚、バッグに次いで奥の深い製品である。決められない。やれやれまたか。

これまでも色々なストラップを試してきた。AB型のためか選択肢が多ければ多いほど決められない。それでやはりOP/TECH USAを再度購入と思ったところで、引き出しの中のストラップが目についた。黒と黄色のニコンの純正ストラップ。茂木健一郎さんに言わせると自然界で最も近づいてはいけない色の組み合わせだそうだ。警告色。

確かD700を購入した時の付属品だと思われる。今と違ってヒモの部分もキャンバス地となっている。手にとってみると経年変化のためか非常に柔らかく、手触りが良い。うまく言えないが、しっくりくる。手に巻きつけてみたり、肩にかけてみたり、不審がる猫をよそ目に鏡の前で色々試してみる。

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これまで純正のストラップには全くと言っていいほど興味がなかった。撮影地で大砲のようなレンズをつけた年配の方々の首元にはいつもNikonCanonのロゴ入りストラップ。しかし気がつくと今手元には新調したニコンのストラップがある。先輩方も同じ過程を経てたどり着いた終着駅なのかもしれない。

純正の良さを知ったためCanon用にもストラップを新調した。Nikonに比べ薄いがその分手に巻きつけやすい。

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価格もリーズナブルで良い。これで当面はストラップに悩まずにすみそうだ。

 

 

モノクロ暗室体験と感想

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都内にある暗室ワークショップに参加して実際にプリントを体験してみた。事前に少し予習はしていたが、実際に暗室に入るとその独特の雰囲気、レッドライトの妖艶さに少なからず興奮を覚えずにはいられなかった。

プリント手順自体は思ったより易しく、自宅の浴室で行う現像の方が緊張感のある作業だと感じた。しかしこれは引伸機をはじめとして全ての機器や用具が完璧に揃っているためと思われる。よってこれらのインフラを自宅に設備するとなると相当の工夫が必要で、作業は困難を極めるだろう。

今回は35mmのみキャビネサイズでプリントした。7時間ほどの間に30枚程度。現像液に浸した印画紙から像が浮かび上がってきた時は全く新しい神経細胞が刺激されたような気がした。新しい世界の幕開け。

水洗まで終わってようやく部屋の明かりをつける。事前にテストペーパーで露光時間やフィルターを調整したため綺麗なトーンが現れた。指導員の方からOKサインが出た。とりあえず濃すぎず薄すぎずの基準が分かったので、あとはフィルターなどで微調整しながら色々試せば新しい発見があるかもしれない。

基本的には大丈夫そうなので、あとは自分で進めてくださいという声をいただき、その後は1人で作業を進める。ネガのセット、露光時間の調整、印画、現像液から水洗いまで淀みなく、システマティックに手を動かす。一度だけ未使用の印画紙を広げたまま室内光を点けそうになってヒヤッとした。慣れた頃にミスが起きるとはまさにこのことだろう。

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お昼は近くの蕎麦屋でざるそばを食べた。静かな店内で蕎麦を勢いよくススっているといつしか合唱のように周りのお客さんもズルズルすすり始める。蕎麦はこうでなければ。

再び暗室に戻り缶コーヒーを飲みながら1人黙々と作業を進める。20年ぶりにタバコが吸いたくなってきた。暗室の陰鬱な雰囲気がそうさせるのだろう。結果が全ての孤独な作業。自己責任で言い訳はできない。この感覚、家族を持ってからというもの忘れかけていた感覚。男には1人になる時間が必要なのだ。

あっという間の7時間だった。指導員の瀬戸さんに1枚だけ写真を褒められた。海辺のカフェで撮った20年来の友人のポートレート。高校時代と変わらない屈託のない笑顔をこちらに向けている。「いい笑顔だね、トーンもとても良い。」
気心の知れた人間のポートレートほど素晴らしいものはないのかも知れない。

自宅に戻ってから、ネガをスキャンしてプリントしたものと比較してみた。どちらも綺麗だが、長く見ていられるのは手焼きの方だった。バイアスのかかっていない妻にブラインドテストしてみたが、やはり手焼きの方が良いと答える。理由はわからないしうまく説明ができないらしい。世の中理屈で説明できる事よりも説明できない事の方が大切なのかも知れない。

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最後になるが、採算度外視で今でもこのような場所貸しを行なっているオーナーや写真家の方に感謝の気持ちでいっぱいである。頻繁に通うところではないし、それなりの写真を撮らなければというプレッシャーもあるが、また是非利用したい。その後、友人のポートレートは郵送で彼に送り、妻のポートレートは額に入れて立て掛けた。彼からの返信「とても気に入っている。ありがとう。」

 

 

L32711 LPL VCCE 引伸機 VC7700プロ

L32711 LPL VCCE 引伸機 VC7700プロ

 

 

お気に入りのカメラバッグ

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ONAのBoweryを使ってもう3年近くになる。カメラバッグらしくない外観と革のパーツ、サイズ感がちょうど良い。一眼レフを入れるにはやや頑張ってしまう感があるが、M型ライカのサイズ程度ならその他にフィルム、財布、スマホ、車の鍵などを入れても余裕がある。

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これまで色々なカメラバッグを使ってきたが、経験上私にとってはバッグの重さが1000gを超えたあたりで使いにくいと感じるようだ。リュックタイプは2kg程度でも平気なため、おそらく重さの感じ方の問題だと思われる。肩掛けタイプは特に影響しやすい。

ONAの製品はいくつか使用したことがあるが、Bowery以上になるとその重さが肩にのしかかってくる。フルレザーのモデルなどは特にそうだ。

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Billinghamのハドレーシリーズも好きで両方とも所有していたことがあるが、どうもONAのサイズのバランスがしっくりくるようで、結局ハドレーは知人に譲ってしまった。

 

一眼レフを移動させるときはIncaseのスリングバッグを使用している。これも使用してかれこれ3年近くになる。ナイロン製で洒落っ気はないが、容量といい、軽さといい、不満はない。はじめはスリングタイプに違和感を感じていたが、慣れれば背中から正面へとバッグの移動がスムーズにできる。海外では特に混雑した場所で素早く正面にバッグを移動できるので重宝した。

 

決局パーフェクトなカメラバッグは存在しないのだろうけど、いわば自然淘汰で考えると、時の洗礼を受け、現在クローザットに吊るされているこのバッグ達が私にとってはお気に入りということになるのだろう。

 

 

ONA カメラバッグ THE BOWERY (Smoke) ONA5-014GR 国内正規品

ONA カメラバッグ THE BOWERY (Smoke) ONA5-014GR 国内正規品

 

 

 

思い出のカメラ:Nikon F100

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Nikon D700 ISO200 1/250 f2 (Nokton 58mm)

1998年の12月にF5の軽量版として発売されたモデル。私が実際に手にしたのはそれからおよそ4年後の2002年あたりだったと思う。当時付き合っていた彼女が偶然にも写真学校を出たカメラマンであり、愛機がF100だったためだ。

私はといえばロクに仕事にもつかず、音楽活動に夢中であった。当然彼女の仕事にも無理解であり、それが原因かは分からないが、しばらくして別れることになった。

F100を借りて何枚かショットしたことがある。残念ながらネガは全て彼女が保管していたため、今となっては知る由もない。大好きなSadeBy Your Sideを聴きながらネガを確認する彼女の姿をおぼろげながら覚えている。

「ねえ、ポートレート撮らせてよ」

付き合い始めて数ヶ月した頃、彼女がそう切り出した。思えば私の写真を撮るのはこれが初めてだったかもしれない。カメラはいつもそばにあったのになぜ今頃なのかと問いただすと、

「相手を知る時間が必要だったから」

 

当時私は自分の事しか考えられない若者だった。彼女の仕事や抱えている物事に見向きもしなかった。おそらく彼女は傷ついていたのだろう。40歳を過ぎた今なら理解してあげられるかもしれない。もっと写真や大好きなカメラについて語り合えるだろう。

数ヶ月前に整理していた棚から出てきた数枚の私のポートレート。光やアウトフォーカスの具合など独特のセンスを感じる。とても今の私には撮れそうもない。

けれどもいつか自分の妻をこんな感じで撮れればいいかなと思う。

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Nikon D700 ISO200 1/125 f2.8 (Nokton 58mm)

中古で手にいれたF100。状態は大変良い。フォーカスも合わせやすい。サイズも私の手にしっくりなじむ。今でもプロ機として十分活躍できるだろう。雨が止んだらオールドレンズの35mm f1.4を付けて散歩にでも行きたい。

思い出のカメラ:Nikon D40

また梅雨に逆戻りしたような天気が続いていて、せっかくの休みなのに外出もままならない。それで写真を整理していたらふと手が止まった。Nikon D40で撮られた写真である。

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ISO400 1/640 f13 18mm 川村美術館

思えば初めて一眼レフを購入したのが今から10年前の2007年、新婚旅行用に買ったD40だった。AF-S 18-55mm f3.5-5.6G EDII付きのレンズキットで確か7万円前後したと思う。それまで使っていたコンデジと全く違う感動を与えてくれた思い出のカメラである。

今ではほぼ全ての写真をマニュアル露出で撮っているが、当時は露出はおろか、APS-CやFFの概念もなかったため、ほぼ全てをPモードで撮影していた。画質については、今あらためて見直すとそれなりに綺麗に撮れている。少なくとも現在のカメラに明らかに劣るという画質ではない。

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ISO400 1/80 f4.5 20mm

この頃は2005年にEOS 5D、2008年にはNikon D700と、コンシューマー向けの比較的廉価版フルサイズ機が発売された時代でもある。両方とも今も所有しているが、画質的には十分現役で通用する。デジタルカメラの画質は10年前にすでに完成しており、あとは解像度をどれだけ上げるかで各社努力しているに違いない。

結局D40は2年ほど所有し2009年にAF-S DX 35mm F1.8Gを購入してからほどなくして手放した。撮りたいものもなかったし、何を撮っていいかも分からない、そんな心理状態だったのかもしれない。

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ISO200 1/80 f4.5 35mm (35mm f1.8G)

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ISO200 1/60 f4 35mm (35mm f1.8G)

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ISO200 1/10 f1.8 35mm (35mm f1.8G)

写真を見直すことでその頃抱いていた感情などがリコールされる。やはり写真は素晴らしいと思う。

 

Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ニコンDXフォーマット専用

Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ニコンDXフォーマット専用

 
Nikon デジタル一眼レフカメラ D40 レンズキット ブラック D40BLK
 

 

 

モノクロで撮る意味について

自家現像を始めると当然モノクロフィルムを買う機会が増えるのだが、ここで改めてモノクロ写真の魅力、そしてカラーでもモノクロ変換できるのになぜあえてモノクロフィルムを使うのか、について考察してみる。

モノクロの魅力については多くの書籍、ブロガーの方々が語っており、基本的には全てに賛同するが、最も共感するのは森山大道氏がAERAで語っておられた、

写すぼくの実感として、モノクローム写真には、多分に世界を象徴化し抽象化する感じがあり、カラー写真には、どこか外界を世俗化し風俗化する趣がある。

という見解だ。

自由度の高いモノクロ写真

私にとってはカラー写真はモノクロよりも支配的な感じを受ける。カラーに比べモノクロ写真は明らかに想像力をかき立てる。色彩が無い分、光や構図に着目できる。もちろんこれらはある程度写真について知識がある人間からの視点であり、一般的な人間から見たモノクロ写真は単純にお洒落な感じ、ぐらいなものだろう。けれども潜在意識の中ではどのような空間にも溶け込むことのできるモノトーンの魅力を感じているはずである。

光に対して純粋に向き合える

フィルム写真は趣味性の高いものであり、デジタル写真を撮る時とは心構えが明らかに異なる。その中でもモノクロでしか撮れないモノクロフィルムを購入し、装填し、シャッターを押すという行為には何か特別な心理状態が働くように思われる。

カラー写真は後で簡単にモノクロに変換できる。つまり選択肢が2つあり、おまけにトレードオフの関係ではなく同時に好きな時に享受することができる。反対にモノクロフィルムで撮ったものは、AIでそれらしく変換は可能だが、基本的にはカラーにすることはできない。光と構図のみで勝負する、いかにも日本の武士道に似た精神ではないだろうか。

世界の見え方が変わる

渡部さとるさんが著書で書いておられるように、モノクロ写真にどっぷり浸かると世界をトーン(濃淡)でしか見なくなるという感覚。長波長や短波長は濃く、中波長は薄いトーンができ、あとは明度のみ。世界をよりシンプルに単純化して捉えるには良い経験である。

www.satorw.com

フィルム単価が安い

いきなり実利的な話で恐縮だが、自家現像を行うことを前提に考えると、カラーフィルムを買うよりもモノクロフィルムの方が安くなる。これまで経験したカラーフィルムの最安値は150円ぐらいだが、現像が600円くらいかかるのでトータルでは800円前後となるだろう。モノクロフィルムは1本600円前後で買え、自家現像すれば可能な限り安くはできる。しかし以前にも書いたように、私にとって写真は仕事ではなく趣味なのでコストのことよりも大切なことは、いかにその瞬間を満足できるかである。

人間は想像できる唯一の動物である

Victoria Braithwaiteの著書“Do Fish Feel Pain?(魚は痛みを感じるか?)"によると、魚には未来を予測する能力があるらしい。しかし予測はできても想像、空想はできない。それらができるのはおそらくヒトのみだろうとしている。想像、空想はヒトのみに許された最高の贅沢かもしれない。

カラーだろうが、モノクロだろうが写真は想像力をかき立てるものだが、カラーとはまた違った感じを受けるのがモノクロ写真である。これからもぼちぼち楽しんでいきたい。

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Leica M3 Summaron 35mm across 100 Chigasaki beach

 

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Leica M3 Summaron 35mm across 100 Chigasaki beach

 

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Leica M3 Summaron 35mm across 100 Tokorozawa

 

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Makina67 across 100

All developed by Kodak T-MAX developer

 

旅するカメラ     エイ文庫

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LEICA ライカ M3 ダブルストローク

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