Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

Kodak Portra (ポートラ400)

近所の写真屋さんはポートラをバラ売りしている貴重なお店だ。量販店ではポートラは通常5本セットでそこそこの値段で販売されている。普段カラーで撮らない私には5本セットの価格では少しためらってしまう。そんなわけで今回も1本のみ購入させてもらった。

Variety store

ポートラの魅力とはなんだろう。個人的にはナチュラル感、それに尽きる。ポートレートにも向いているだろうし、風景、その他にも問題なく使用できる。安心感。

Ultramaxのクールな描写も好きだが、やはりポートラのナチュラル感は捨てがたい。

Variety store
光の捉え方は情緒的。粘りがあり、ハイライトにもトーンが残っている。自分の見た情景の記憶を明度、彩度共に補ってくれる。

Variety store

カラーは本当に難しい。しかし自分の色が再現できた時の満足感は非常に大きい。Kodakに限らずメーカーは頑張ってフィルムを作り続けて欲しい。

Variety store

 

 

 

Summilux 50mm asph. レビュー

50mmの楽しさを再認識させてもらったレンズ。従来までの球面の柔らかいテイストを残しながらもより鋭敏でコントラストを増加させており、非球面による収差の低減、なだらかで霧に包まれたようなBokehは素晴らしいとしか言いようがない。

summilux 50mm asph

マニアの間ではsummilux50mmはどちらかといえば1rd, 2rdあたりが人気だろう。合焦面はすこぶる良好で、そこからつながるやや情緒的に暴れたBokehが貴婦人(意味深)ともライカテイストとも、油絵とも呼ばれる。中古価格もお手頃である。さらにレンズ設計を変えずに最短70cm、レンズフード内蔵モデルである3rdは実用面ではパーフェクトであり中古市場には滅多に出回らない上、価格も現行モデルの中古と肉薄する勢いである。

実は店頭に3rdも置いてあり、ソニー機に装着して現行モデルと撮り比べをしながら小一時間ほど悩んだ末にapshに決めた。両者とも素晴らしいレンズであり価格以外には優劣のつけようがなかったが、個人的には前述したオールドテイストを残したまま現代風にキャリブレーションされたasphに軍杯が上がった。

特に3rdで垣間見る二線ボケがasphではほぼ皆無であり、撮り比べることで明らかな差が見られた。しかしながらこの辺りは個人のテイストの問題であるため一般化はできないだろう。
重さやサイズについては3rdが明らかに軽く、短い。取り回しの面でもsummicronとほぼ変わらないため、非常に悩んだが、一般的な大口径50mmと比べればasphが重く、大きい訳ではない。装着した感じも違和感がない。asphのピントリングのタブは使い勝手が良く、無限から最短までも半回転で到達する。(3rdはほぼ360度であり指を持ち替える必要がある)

f1.4が活躍する場面にはまだ出くわしていないが、開放から実用的であるため、夜景の撮影でも安心して使えるだろう。

Nasudake ( volcanoes)

次にフィルム使用。絞って撮った那須岳Flickr Exploreに選出された。

Mount Nasu

現行レンズはデジカメ用にチューニングされているといわれるが、私はむしろフィルムでこそその性能が発揮されやすいのでは、と考えている。光を余すことなく透過させる能力はフィルムの持つ個性を十二分に引き出すことが出来ると思うからだ。フィルム写真のデジカメにはないぼんやりした感じが良いと思う人はたくさんいるだろう、しかしそのフィルムの潜在能力を十分に発揮させた写真もまた味わい深い。

 

 

50mmは世界を変えられるか

50mmフォトグラファーで有名なHenri Cartier-Bresson。彼の使い込まれたブラックのM3とズミルックス50mmをみて心を打たれないライカ好きはいないだろう。彼が50mmについてインタビューに答えていた記事があったので抜粋。なぜ50mmを使うのかという質問に対し、以下のように答えている。

It corresponds to a certain vision and at the same time has enough depth of focus, a thing you don’t have in longer lenses. I worked with a 90. It cuts much of the foreground if you take a landscape, but if people are running at you, there is no depth of focus. The 35 is splendid when needed, but extremely difficult to use if you want precision in composition. There are too many elements, and something is always in the wrong place. It is a beautiful lens at times when needed by what you see. But very often it is used by people who want to shout. Because you have a distortion, you have somebody in the foreground and it gives an effect. But I don’t like effects. There is something aggressive, and I don’t like that. Because when you shout, it is usually because you are short of arguments.

要約(大胆な意訳)すると50mmはある目標に注目した時の画角であり、被写界深度もある(パンフォーカスの余地がある)、90mmは50mmより対象物を切り取れるが被写界深度が浅い(ため前後に動く対象物などに対し実用的でない)、35mmは素晴らしいレンズだが色々なものがフレームに入りすぎる(ブレッソンの撮影スタイルと反する)し厳密な構図(これこそがブレッソンの真骨頂だが)には向かない。また35mmに大はしゃぎする者は大抵はそのパースや歪みについてであり、ブレッソンはその効果が不自然と感じるため好きではない。それに、その効果について大はしゃぎする理由に根拠が見当たらない。(パースや歪みを良いとする根拠がないということだろうか)

35mmレンズは当時は広角レンズに分類されており、また大変おそらく高価だったであろう。50mm以上の望遠レンズが主流だった時代にすればそのパースなどは斬新だったに違いない。現在は35mmは標準であり、21mm以下などのパース、歪みに慣れてしまっている我々にとっては35mmの効果について語るブレッソンの言葉は逆に新鮮さを感じる。


写真を記録ではなく芸術作品(Art work)として捉える時、撮影者が意図を持って”世界を切り取る”ということは大変重要なことである。しかし同時に非常に難しい。それに、好きな小説家を答えるのと同じぐらいの気恥ずかしさがある。そう言った意味でブレッソンの写真は非常に強い意図を込められているのを感じる。

50mmはポートレートに適している。特にレンジファインダー機では最短距離70cmであり、35mmは50mmほどに対象を拡大できない制約がある。Bokehも同様である。以前35mmは50mmの画角をカバーできると書いたが、ひょっとしたらその逆なのかもしれない。

Portrait of M

50mmで風景を撮ってみた。十分に距離が稼げる(引ける)場所なら35mmや28mmよりもその圧縮効果で絵に存在感をもたらすだろう。またトリミング耐性の低いフィルムならば50mmはなおさら有利だ。変な癖もなく、自分の見たままの風景を忠実に切り取ってくれる。

In the suburbs of Tokyo

街並みの描写はどうだろうか。台湾の九份に行った時を思い出す。狭い路地の中、ひしめき合う店の片隅で一心不乱に小籠包を巻く長い黒髪の少女の姿が思い出される。21mmの超広角で路地全体を撮るのは良い。しかし50mmで撮るこの少女1枚の写真を見ればその蒸気にまみれた湿っぽい路地の喧騒は記憶として蘇るのかもしれない。(その旅行ではあいにく安いコンデジしか持っておらず24mm程度の記念写真しかないが、望遠レンズの必要性を肌身に感じた瞬間でもあった。)これはまたの楽しみにとっておこう。

 

 

 

 

富士カラーCD所感

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カラーフィルムの現像を頼んでいる店で今回初めてCDデータ化を同時に注文してみたので、その所感と備忘録を書き記す。
モノクロフィルムは自宅で現像しているが流石にカラーは敷居が高いため店に頼んでいる。そこそこ常連なのだからスルーしてもらっていいのだが、毎回CDのデータ化を勧められる。おそらく会社からの指示だろう。現像したネガは自宅でスキャン(正確にはマクロ撮影)しているため、コスト面からも毎回当然断っているが、最近暖かくなってきて気分もいいし、好奇心からたまにはいいかなと思い頼んでみた。
総評としてはまあ正直大変楽で結果もそこそこ満足いくものであった。なんといっても店に預けて小1時間待てばネガができているし、おまけにデータ化までされている。実際に会社の昼休みにポイっと出してタリーズでコーヒーを飲んで戻る際に受け取ることができた。そして職場のPCで閲覧。
こんな楽なことはない。また費用だが、フィルム代を別にすれば現像に600円、CD化に500円の合計1000円ちょっとで、いわば時間と手間を買ったと思えば大変安い。

データ化された画像は1枚1MBに満たないファイルサイズで取り回しもよく、長辺は1800px程度維持しているのでL版印刷程度では問題はないだろう。画像は、ProviaVelviaの中間風のまあコントラストの効いたこってり系とでも呼ぶべきもので、『FUJICOLOR風』といえば当然そうであるし、ベクトルがナチュラルよりもレトロに向いているのはよくわかる。実際この写真をみてフィルム写真ぽいと感じる人はそう少なくはないと思われる。(作例は梅の花:M-Rokkor 40mm、 湖:Elmarit 28mm、両方業務用富士フィルム100)

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手間暇かけずフィルム写真を撮りたい方には大変有用なサービスであるが、私にはFujicolorの絵作り以上に不満な点が1つあった。それはデータ化された段階で全ての露出が自動で適切に補正されていたことで、出来上がった画像は全て補正され、基本的にはオーバー、アンダーな写真はない。

カメラ愛好家の多くがそうであるように、私も撮影時にはこの場面はややハイキーに、ここは光の当たっている部分だけを強調したいのでアンダーになどと、いわゆる意図的に露出を合わせてシャッターを切ることが多い。特に結果がすぐにわからないフィルム写真には自分の思い通りの露出だったのかの確認も含めて仕上がりの楽しみがある。
それが全てフラットで平均的なものに修正されてしまっており、いわば意味のある写真ではなく、最大公約数的な『写真』に生まれ変わっていた。もちろんレタッチで修正も試みたが、いかんせん200万画素のJPEGではレタッチにかなり制限があり、ハイライト、シャドーの調整はほとんど無意味で、いじるほどに汚らしい写真になっていく。

結局いつも通りRAWで取り込んで記憶色を再現してみた。もちろん前の写真(富士フィルム)、この写真(レタッチ)、どちらも撮影者が良いと思えば正しいのであって正解または良し悪しはない。

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ロクな作例もなく偉そうな事を書いたが(色味を変えただけかもしれないが)、結論としては富士フィルムCDで出力された画像は私にとっては大変ドミナント(支配的)であり、自分でコントロールして最終出力までたどり着けないもどかしさが残ってしまい、お店の人には申し訳ないが次回からはやはり現像のみで頼むことにする。しかし、旅先などではコンタクトシート代わりに注文してみるのも良いとは思う。

 

 

Flickrのカバーフォトに選ばれた。

マニアックな話になるが、Flickr Ferrania P30のカバーフォトに私の写真が選ばれた。

Ferrania P30 | Flickr

選ばれたのは日本を代表とする名所スカツリーカフェ(?)だ。

Skytree Cafe Tokyoこれでお客さんが増えることを切に願う。(飲んだことないけど)

せっかくなので少しだけ撮影状況を書こうと思う(備忘録もかねて)。前回や前々回から書いているようにこの日は上野から浅草周辺を2台のカメラ、2本のレンズ、2つのフィルムで巡った。Leica M4-PとElmarit+P30そしてLeitz Minolta CL + M-Rokkor40 + Rollei RPX100。

当日は曇り空だが明るく、なんというか私好みの天然のディフューザーがかかっている状態だった。光量でいうとISO100, 1/125 f4-5.6といえば想像がつくだろうか。

秒速4mのエレベーターに乗ってスカイツリーの展望台に到着した時、ドーナツ状の窓ガラスからはとてもいい塩梅に均一な光が差し込んでいた。とりあえず東京の街並みを当たり前のように撮影して、ぐるりと一周回ったところ、スカイツリーカフェの食器やらなんやらが光に反射して、またカウンターの幾何学模様がそれに合わさって美しい、と感じた。

この『撮る瞬間』は理屈で説明できない。ただ『美しい』と感じた。それでLeica M4-Pを取り出してすぐに1/60 f2.8に設定した。フィルム写真をやられている方なら共感できると思うが、1/60 f2.8は室内撮りの定石である。ただし通常はISO400を想定しているためP30のISO 80ではかなりアンダーになると思ったが、窓からの光がハイキーなゆえにシルエットになってむしろいいのではないか、と考えた。それで撮影。その後すぐに団体客が目の前を横切ったため2枚目は撮れなかった。

 

次回はこのカフェでエスプレッソでも飲んでみたい。

 

 

28mmと35mmの使い分け

前回35mmと50mmに続いて今回は28mmと35mmについて所感を述べてみる。

以前書いたように私は間違いなく35mmの画角が好きで(35mm guy)、これまで撮影した90%以上の写真は35mmである。これだけ使っていると自然に35mmの画角が身につくため、今では自分の切り取りたい光景に対して一瞬で正しい位置に立てる自信があるし、失敗もしない。元来ものぐさで面倒くさがりな性格のため、見ている景色や風景がそのまま写る35mmに惹かれたのは自然の成り行きかもしれない。

28mmは私にとっては大変広い画角で、やや違和感がある。現在スナップ用もしくは露出計代わりに使っているGRIIは換算28mmだが、やはり広く感じるし、21mmや24mmほどではないがやや非現実的なデフォルメされた世界がある。また人を撮るときは基本的に中央に配置するのが鉄則であるため日の丸構図になりやすいし、パースをつけるためには対象にクローズしないとならない。どちらも相当なスキルを必要とする。私にはややハードルが高い。

Elmarit 28mm f2.8
ところが最近28mmにやけに惹きつけられている。GRIIで撮りまくった結果、28mm感覚が蓄積されてようやくラーニングカーブの急勾配に差し掛かっているのかもしれないが、先日の上野浅草でライカElmarit 28mmで撮った写真をみても35mmでは感じなかった印象がそこにはあった。なんというか存在感がある。描写は現実と非現実のちょうどギリギリのラインであり、確かに自分はこの景色を見ていたんだけど、「こんなに広かった(大きい)っけ、凄い」という感じである。35mmの画角の場合はこのような感じは受けない。シンプルに「はい、これは自分が見ていた景色に間違いございません」といった感じである。

Sumida River

Sumida river, Tokyo

そして28mmに慣れてくると35mmが途端に狭く感じてくる。一方50mmはというと、特に変化はない。私にとって50mmは望遠だからだ。よって28mmが50mmの聖域を侵すことはない。こうなってくると問題は35mmの立ち位置となるわけだが、大好きな画角であるだけに、目下検討中である。(写真はsummicron 35mmで撮った京都南禅寺の水門。パースをつけやすい構造物の場合28mmで撮ればもう少し存在感を出せたかもしれない)

Kyoto

ブログなどを読むと海外では28mmと50mmの組み合わせは最強だとされているようで、35mmと50mmのデュオよりも信奉者は多いように思われるが、35mmと50mmのあまり違いがないようで違いがあるのが好きというフォトグラファーもたくさんいるだろう。28mmと35mmも然り。

そして気がつけばレンズが28mm, 35mm, 40mm, 50mmと増えている。カメラ1台にレンズ1本(One camera and One lens)の理想からはまた遠く離れてしまった。仕事もほどほどにして窓から春の息吹の感じられる2月末の景色をぼうっと眺めながら考える。旅行に1本だけレンズを持っていくとしたら?

Answer : Summicron 50mm.......+GRII(!)

Ferrania P30 所感

1917年創立のFILM Ferrania社。フェラーリーから連想されるようにその名の通りイタリア北部の会社である。創立以来一貫して写真、映画用フィルムを第一のビジネスとしている。
P30は1960年から続くロングセラーフィルムで粒子の細かさ、グレーの美しさなどが特徴としてあげられる。

Ferrania P30

特にこだわりがあるわけではないが少し気分を変えたくて輸入した。レートにもよるが現地で買えば1本900円ちょっとなのでそれほど高くはないが、如何せん輸入手数料を取られると1本あたり2000円近くになってしまった。まあ趣味なのでしょうがない。

開封して最初の感想は傷だらけ、と言った感じだろうか。当然未開封なのだが、箱を開けてみるとフィルムケースがひどく傷ついている。日本ではまず考えられないレベルのダメージだが、おそらくリサイクル品に違いない。フィルムに限らず欧米の感覚ではこういうことはよくある。以前電化製品を輸入した時もボタン等に指紋がべったりついており、どう考えても店頭展示品(サンプルかもしれない)であったがもちろん定価で販売していた。

とりあえず最近お気に入りのElmarit 28mmで撮影してみた。まずは風景からということで上野浅草、スカイツリーを巡った。出来上がったネガをみると横筋がたくさん入っている。カメラのせいか、元々か。おそらく元々だろう。

Ferrania P30

Elmaritがシャープな描写のためか、非常に尖った写りをしている。ありのまま、そのままに。しかしどこか品があり、まあ月並みだが美しい。

Ferrania P30

シャドー部のトーンも見事で、ハイライトにも粘りがある。フィルムISOは80でElmaritはf値が開放2.8しかないため暗所に強い組み合わせとは呼べないが、それでもトーンが破綻せずに残っているのはベニッシモ(very good)か。

Skytree Cafe Tokyo

残り4ロール。長期保存も可能のようなのでここぞという時に使ってみたい。