Cure of GAS

Castle Rock Photography

写真やカメラにまつわる話を淡々としていきます。

三脚の購入 GITZO GT0545T ( GK0545T )

三脚を頻繁に使うことはないが、全く使わないわけではない。それでとりあえずコンパクトなものを、ということでVelbon UT-43Qを購入してもう5年になる。UT-43Qはとてもコンパクトで重さは1kg程度、そして全長はおよそ30cm。その気になればビジネスカバンにも入る。問題は何もない。

唯一の問題点はその耐荷重で、メーカー表記には2kgまでとある。よって足を全て伸ばした状態で中判カメラなど(3kg)を乗せると心もとない。さすがに倒れることはないのだが、風が吹くとグラグラするし、長時間露光では心配でしょうがない。さらに雲台のカメラ側のアタッチメントがコインでねじ込むタイプで、締め付けが弱くカメラ本体がくるくると回ってしまうこともあった。それで色々検討した結果、長く使えるということでGITZOに興味が湧いてきた。

GITZO GT0545T

調べてみると、まずその価格に驚かされた。それでWebでポチるのではなく現物を触りに都内の量販店に行くことにした。店頭に置いてある店は都内でも数えるほどしかない。

売り場で実際に触ってみると、カーボンのしなやかな剛性というのだろうか、素材の良さに惹きつけられた。UT-43Qより重いのだが、どういうわけか軽く感じる。値段相応か。自転車マニアの友人に聞くと「カーボンのサドルは1本3万円します」とのこと。

迷ったが、これなら一生使えるだろうし、耐久消費財ということならむしろ安上がりかも。ということで店員さんと話すのだが、問題は種類の豊富さである。こういうのはAB型で選択肢が多いと選べなくなってしまう性格の私には本当に困る。 マウンテニア、トラベラー、システマティック、0型、1型、4段、blah blah blah.... とはいえ、今回は割とすぐに決められた。理由は実物を触ったときに0型が一番しっくりときたこと、軽さがプライマリーなこと、それに普段はミラーレスやライカなどで、重いカメラはないし、いずれにしても10kgの耐荷重があるなら問題ないだろう。 ということで、GT0545T。つまりもっとも軽いタイプのGITZOでディール。

家に持ち帰ってしばらく使ってみたのだが、これがなんとも使い勝手が良い。まず雲台の安定性はこれまでの三脚とは一線を画するし、足のねじ込みもUT-43Qと比べ滑らかでストレスがない(UT-43Qは引き出しや押し込み時にやや引っかかることがあった)。そして全高150cmというのも、特にRZ67やローライのように上から覗くタイプのファインダーならこれくらいのサイズがちょうど良い。心配だったRZ67の重さだが、全く問題なく安定している。

 

とても魅力のある製品だと思う。この三脚を触りたいがために、特に必要もないのに雲台にカメラを置いて、秋の終わりを惜しむかのように佇むモミジを撮ってみたりする

Reddish tree  in the afternoon

 

紅葉色、紅絹色、艶紅、曙色がいつもより綺麗に感じるのは気のせいだろうか。

 

Color of life

 

 

GITZO 三脚 トラベラー 0型 カーボン 4段 QDボール雲台キット GK0545T-82TQD
 

 

Carl Zeiss Distagon 35mm T* F1.4 ZM レビュー

Carl Zeiss Distagon 35mm T* F1.4 ZMは素晴らしいレンズである。ビルドクオリティーや質感は逞しく、光学性能は非常に高い。その大きなレンズ口径はたっぷりと光を取り入れることを担保しており、鏡筒の大きさはどのような環境にも耐えうるという信頼の証である。

Distagon 35mm F1.4 ZM

比較対象のSummiluxだが、個人的には光の描写ではDistagonがSummiluxより勝ると感じる。感覚的なもので説明しづらいのだが、Distagonは物体への入射光だけではなく拡散された環境光をもベールに包んだような優しい光に変える力があると思う。よって往年の銘玉にみられるようなふわっとした描写が基本になっているが、中心部は凄まじい解像度であり、それゆえに全体的に大変品の良い描写をする。35mmだが、女性のポートレートなどにも向いているだろう。

Distagon 35mm F1.4 ZM

唯一の欠点は誰もが考えるようにそのサイズと重さだろうか。レンズそのものはフルサイズ用の標準的なレンズに比べても大変小さいのだが、重さというのは不思議なものでバランスがとても重要となる。例えば50kgの土嚢と体重50kgの人間を背負うにしても、体感重量が異なるのはバランスのためだろう。

残念ながらライカMのボディに装着したディスタゴンはとてもバランスが良いとはいえず、やけに腕が疲れる。正直、もっと大きなカメラにもっと大きなレンズを付けていた時よりも疲労度が高い。しかし、光学性能は一流なので、その辺をモノともしない屈強な方ならばオススメしたい。

Distagon 35mm F1.4 ZM

個人的な話になるが私はZeissのディスタゴンには思入れがあり、古くはCanon EOS 5DMKIIで初めて買った35mm大口径がディスタゴンだった。とにかく明るい。ファインダーを覗いた瞬間から明るいと分かるレンズだった。総重量が2kgを超えるという、今ミラーレスが主流のこの時代には考えられない重さで足に血豆を作りながらもロンドンやパリを歩き回った。良き思い出のレンズである。(5DMKII in Paris)

Paris

#1

それからソニー機にマウント替えした後でも、当然35mmはEマウントのDistagon 35 f1.4 ZAにしたが以前感じた感動は得られなかった。おそらくAFのためだろう。どうにもしっくりこない。ZE(キャノンマウント)で感じた冷たくもトルクの効いたヘリコイドの感触が私にとってのディスタゴンなのだろう。

話を戻そう。結局スナップ撮影には向かず、防湿庫の中で眠っていたのだが、ジッツオの三脚を手にする機会があったので、絞れるだけ絞って豊洲や公園を長時間露光撮影した。

Tokyo Bay

やはり光学性能は間違いないだろう。

 

最後になるが、SummiluxとDistagonのどちらがオススメかと聞かれれば、そのサイズのバランスからSummiluxをオススメしたい。しかしSummiluxとSummicronのどちらかならば、Summicronである。やはりコンパクトさは正義、か。

撮らなきゃならないと思った瞬間に何かが壊れた話

先日、やや身体がだるかったが、最近写真をとっていないので撮らなきゃなーと思いながら重たい中判カメラをリュックに詰めた。それから玄関に座ってスニーカーの靴紐を結び直してみたりするが、どうにもだるい。疲労蓄積。40代更年期。
それでも気を振り絞って「撮らなきゃいけない」と思い立ち上がった瞬間、何かが壊れた。もちろんカメラではない。頭の中で。それから途端に何もかもがバカバカしくなって外出をやめて、コーヒーでも煎れて、お気に入りのソファーに座って本でも読むことにした。新鮮なモカの香りを胸いっぱいに吸い込んでいると次第に気分も良くなってきた。

私にとって写真は完全に趣味であり、仕事ではない。よって、写真を撮ることは義務ではない。私が写真を撮らなくたって誰も困らないし、当たり前だが世界は1ミクロンも動かないだろう。泥沼の消費がなくなる分、家族がもっともっと豊かになる可能性あるかもしれないが、基本的に写真を撮ることで動くのは私のJoyという感情だけだ。私はその感情を動かすために、撮りたいから撮るのであって、撮らなきゃならないから撮る、のではない。

on Bass

写真の出来栄えも違う。先日膨大なRAWファイルの整理をしていた時、作業をやめて見入った写真は全て撮りたいと思って撮った写真ばかりだった。もちろん家族の写真も含まれる。この人のこういった部分が良いと感じたその瞬間を撮っている写真は何故か心に響く。

本当に写真は奥深い。

Nokton 35mm f1.2 asph II レビュー(備忘録)

数ヶ月前にflickrにのせたNoktonの写真へ先日コメントがついた。それで、ああ、そういえばこんなレンズ持っていたなーと思い出して備忘録。

Nokton 35mm F1.2 asph II

正直なところフォクトレンダーのノクトンは借り物含めてこれで4本目であるがどれもシックりとこなかった。おそらく個人的な相性の問題だろう。決して作りや性能が悪いわけではない。むしろ作りは良すぎるぐらいで、触った感触はライカ純正と変わらない剛性感がある。中心部は普通に解像しているし、開放であってもまあ、普通ならば許容範囲だろう。ボケはいわゆるクリーミーボケとは違うが、完全に好みの問題だろう。

Nokton 35mm f1.2 asph IIに関しては、大きくて重い。普段使いには向かないだろうが、これ一本で押し通す、というのも男塾的で嫌いではない。

まあこのように特に(プライスも含め)欠点は見当たらないが、あるとすれば樽型・像面湾曲収差がひどく人物が、建物が歪む、ことだろうか。もともと収差をギリギリに抑えた35mm広角レンズにも関わらず、ある程度シリアスな建造物の撮影ではRAW現像時に補正が必須である。

私が少々気になるのはこの補正で、フィルムで撮る場合、基本的に収差補正が効かない。

もちろんネガをスキャンしてデータ化すればデジタルで撮ったものと同じようにはできるのだろうが、やはり出来上がったもの(収差ありのネガ)をキャプチャーしたものと、デジカメのように最初からビットデータで取り込んだものでは大きく異なる。ネガをそのまま暗室プリントする場合は補正はほぼ不可能である。端的に書くと、デジカメで補正前提のレンズでありそれが問題なければ大変良いレンズであるが、フィルムなどでは少々注意、だろうか。(フィルムはもともと湾曲しているため歪曲収差には強い、といったことはここでは語らない。)

よってノクトンシリーズはどれ1つとして手元には残っていない。Web上では例えば35mmf1.4のほんわかした絵がとてもいい、などの意見も多くあるので、実際はあまり気にする人はいないのかもしれない。腕も良いのだろう。

最後になるが、フォクトレンダーという会社というかブランドは本当に不思議だと思う。かつての富士重工(現スバル)のようにマニアックなニーズに特化した製品づくりをしているように感じる。唯一手元にあるのはColor skopar 21mmであるが、これは大変良いレンズである。 

 

Summicron 50mm v4 第四世代 備忘録

お気に入りのズミクロンについて私的考察と備忘録。

おそらくライカMマウントのレンズ群の中ではトータルで最も安定性と信頼性の高いレンズだろう。フィルター径39mmのf2で暗いこと、またライカブランドによるプレミアで本来の性能価格の30%程度は上昇していることは否定できないが、そのコンパクトさはレンジファインダーがなんたるものかを再認識させてくれる。

Leica M4-P 'Cron50
写りはとにかく実直で質実剛健。f2ということもあるがフォーカスシフトなどの問題が無いため基本的に(カメラの距離計が正しければ)どの撮影距離でも狙った場所に正確にピントを結ぶ。それゆえ中心部は常にシャープ。もしピンボケしていれば撮影者の責任ということがすぐにわかる。

Nikko, Japan
絵的には凝縮された世界観、というイメージが似合うだろうか。とにかく50mmの画角内にぎゅっとコンパクトにまとめられている。収差が少ないためかもしれない。

Stone lanterns (Nikko Toshogu Shrine)

ボケ味はややうるさい。しかし背景に高周波物体(草や格子など)をいれない限りはそれほど気にはならないが、これは個人の趣向の問題なのでなんとも言えない。

Dreamsville
欠点としては素直すぎること。観察者の見たままをありのままに映し出す。そこにはなんの誇張も欠落もない。英語でいうwow effect(その名の通り、ワォ効果)は感じない。それを求めるのならばゾナーが適任だろう。商業プロのための信頼できるレンズ。ズミクロンは白シャツにネクタイ、ビシッとしたスーツを着た頭の切れるビジネスマン、ゾナー松田龍平のような親父譲りの狂気を感じることがあるが刺激的。

巷に溢れるズミクロンの大量中古在庫をみると皆内心は刺激を求めているのかもしれない。わたしはもうしばらく白シャツとトークしてみるつもりである。


草津温泉とRZ67、ライカM6、旅の思い出

圏央道から関越、それから渋川伊香保ICで降りて約2時間。雄大な山々が連なるロマンティック街道を抜けてようやく草津に到着する。日本有数の温泉街。

車を適当な場所に停めてから町並みを散策する。民芸店や居酒屋が所狭しと並ぶ路地裏を浴衣姿の女性たちが時折、履きなれない下駄を引きずるようにして楽しそうに通り過ぎていく。季節外れの暑さと強い日差し、そして温泉街特有の塩気を含んだ湿気が夏の終わりを惜しむようにあたり一面に広がっている。

一息ついたところでまずは換算50mmのデフォルトレンズを付けたRZ67で辺りを撮影する。フィルムはFujipro 400H。青みがかったカラーが特徴で、ハイライトのトーンの粘りも素晴らしい。

Country side house Japan

Kusatsu Hot Spring Resort Japan

1ロール撮り終わったところで適当な蕎麦屋に入る。舞茸の天ぷらと鴨のつけ汁。やや細身の蕎麦をすすりながら窓から道ゆく人々を眺める。休日とあって親子連れ、カップルが多い。そして狭い路地にも関わらず車の往来が激しい。

上高地のように車を完全に禁止にすればいいのにな、と思ったが、所詮よそ者(観光客)の言い分だろう。なぜなら観光地と言ってもほとんどは普通の民家である。車を禁止にしてしまえばこの辺りに住んでいる人たちにとっては死活問題だろう。

そんなことを考えながらそば湯で薄めた鴨汁に最後の舞茸の天ぷらを少し浸して食べる。コシがあって美味しい。

コップの水を飲み干し勘定を済ませてから店を出る。相変わらず強い日差しで当分は陰る様子もない。

RZ67をしまい、M6を取り出す。レンズはもちろんcolor skopar 21mm。今回のように狭い場所、広い場所が混在している地区ではこの画角は大変使い勝手が良い。

Kusatsu Hot spring resort

あっという間に1ロール撮影。ここで一旦終了して宿へ向かう。チェックインを済ませた後、温泉に入る。草津の湯は独特の酸味?があり、そしてとても熱い。風呂を出てから仮眠をとる。午前3時起きの旅。流石に疲れた。その後食事。海外も良いが日本も素晴らしいと改めて感じる瞬間。

夜になってから再び街の散策。M6には勿論ズミルックス。f1.4はBokehが注目されがちだが、本来は夜間で活躍するもの。開放値の恩恵でシャッタースピードは1/30でも撮影できる。まさにハイスピードレンズ。もちろん写りも素晴らしい。

ライトアップされた街並みを光に反射した湯気がフォギー(Foggy)に着飾る。明け方のニューヨークがこんな感じだった。どこを撮っても絵になる幻想的な光景。結局ISO400 1/30 f1.4で全て撮影。フィルムは期限切れ間近のKodak Tri-X400。光(light)と霧はモノトーンがよく合う。画角(50mm)と最短1mで構図がとり辛い場面があったが仕上がりにはまあ満足。

Hot Spring resort (Kusatsu, Japan)


Hot Spring Resort (Kusatsu, Japan)

Hot Spring resort (Kusatsu, Japan)

フィルムが切れたのでここでようやくa7III。本当に残したいものはフィルムでフィジカルに保存したいため、最近旅にはデジカメを持って行かず、記録写真にはスマホを多用する。今回は夜間撮影と4K動画を撮りたかったため持参した。

しかしフィルムを使っているとデジカメの高感度には改めて度肝を抜かれる。ISO6400でノイズなしの手ぶれ補正。フィルムでは表現不可能な世界を手軽に実現できるようになったのは間違いないだろう。雨が降り出してきたので本日はここまで。

Kusatsu Hot Spring Resort

 

以前大荷物を持って宝登山に登った記事を書いたのだけれど、その時散々荷物はシンプルにすべしと反省したにも関わらず、今回懲りずにさらに重いRZ67を持参して草津を観光した。自分で言うのもバカバカしいが、結局私は写真を撮るのが好きなのだろう。
趣味にはお金を惜しむな、辛いと思うな、重量なんて気にしないのが一番なのかもしれない。

I love Leica M6..旅のお供に

M6 in the morning

Leica Summilux 50mm 第二世代 レビュー

以前現行ズミルックス50mm(asph)をレビューしたので、今回はそれ以前、いわゆるpre-asphと呼ばれるもののうち第二世代をレビュー。

鏡筒の作りが秀逸な貴婦人こと1stから改良を加えた第二世代。呼び方は色々あるが、1stのマイナーチェンジということで『後期型』と呼ばれることも多い。フィルターサイズは1stと同じE43でややマイナーな径ではある。ちなみに第三世代と現行asphはE46。

言うまでもないが、ズミルックスはf1.4の大口径でありライカレンズの中ではサイズが大きい。特に現行のズミルックスは、ノクチほどではないが見た目にも重さも巨大である。
しかし、この第二世代は現行ズミクロンと全長はほとんど変わらない。おまけに実測で50gほど重いだけである。まさにライカのレンズは高性能でありコンパクト。

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写りの所感としてはいわゆる線の細い、淡い描写をする。
ズミクロン50mmと撮り比べるとその違いはよく分かる。ズミクロンはどっしりと線が太く高コントラスト、ズミルックスは全体的に淡く優しい。どちらが良いかは決められない。シチュエーションに合わせて選択していく他ないだろうけど、個人的にはズミルックスはふわっとした明るい雰囲気の写真が撮れるため、女性のポートレートにドンピシャにハマる。ズミクロンは建造物その他ディテールの描写には果てしなく優秀である。(作例はズミクロン。恐ろしくシャープ)

Stone Lantern (Nikko, Japan)

やはり最大の利点はf1.4という明るさだろう。夜間でもISO400のフィルムであれば1/30くらいで手持ちで撮れる。

Hot Spring Resort (Kusatsu, Japan)

レンズ最短が1mのため、元々それが限界のLeica M3に装着している時が最も輝く瞬間だろう。

Leica M3 & Summilux 50mm 2nd

M3の奇跡のような視野率のファインダーから覗く50mmの世界をシルクのような繊細さで描いてくれるレンズ。改めてこのレンズの魅力に気づいたライカー(Leicar)達による需要過多のためか近年価格高騰も激しい。

手にできれば幸運だろう。