相変わらずフィルムで撮っている。
レンズやカメラに対して倦怠期という時期で、その辺りにはどうにも楽しみを見出せ無くなった。これまでの金銭的な負担も大きく、計算するのも恐ろしい。幸いなことにローンは無い。買えないものは買わない、買える範囲で買う。いわば沼でこびりついた泥を洗い流して、ヌルめの湯に浸かっているような気分である。
ふと思い立って高解像度フィルムを手に入れた。Agfa Copex Rapid 120。
これまで高解像度フィルム(低感度)はあえて避けてきた。理由は単純で、その低い ISO がスナップ的な撮り方にそぐわないためである。日中なら問題ないが、ISO20 や 50 では F1.4 でも手持ちの室内撮影はほぼ不可能。個人的には ISO400 がベストで、これに 1/60 F2.8 を基準としてオールマイティに撮影できる。
最近、腰を据えて中判カメラで撮る機会が増えた。普通のサラリーマンのため撮影機会がそうそうあるわけでは無い。それならば撮るときはどっしりと構えて、いわゆる三脚+レリーズ、で作品を残そうという感じである。
フィルムが到着した。早々にハッセルに詰めてみる。なんだかウキウキする。まるで新しいカメラを購入したような気分だ。よく考えればフィルムはデジカメでいうセンサー。フィルムを変えることは新しいカメラを買う事と相違ない。
日中の室内、自然光の下絞れるだけ絞って、20秒近く開いた。
現像液は Spur。注意深く26度まで温度を上げる。出来上がったネガを見て、その美しさに息をのむ。そしてスキャンしてニヤける。
サスティナブル(持続可能)、という言葉が思い浮かんだ。写真という趣味を長続きさせるためには急がない事。そして散財しない事。カメラ、レンズだけではなく現像液、フィルム、もちろん被写体など違う視点から包括的に捉える事。
撮影から現像まで何から何まで時間がかかったが、同時に新しい感覚を覚えた。やっぱり、この趣味は楽しいね。