Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

スポーツジムを退会した話

スポーツジムを退会した。

30代後半から始めたジム通い。知り合いがゴールドジムユーザーだったので紹介特典の流れで入会。それから別のジムへ移り5年になる。

私は完全にインドア派だが、元々身体を動かすことは嫌いではない。マラソンもチャレンジしたし(膝を痛めて止む無くリタイア)、写真を撮っているため、山登りも時々(1000mの日帰りレベル)気が向いたらする。

今更この歳でムキムキボディを求めている訳ではないが、習慣にしたらなかなか止められない性分のため、これまで週2〜3は通い続けていた。当然身体は引き締まるし、自分で言うのも相当馬鹿げているが40代にしては悪くないと思う。

先日発表された首都圏の外出自粛。3密禁止という事で当然スポーツジムはその最前線となっている。しかしジムが自主的に休館する事はあり得ない。それをしてしまうと会費が徴収できなくなり破産する。ジムスタッフも生活がかかっている。よって行くか行かないかはあくまでユーザー側の判断となる。

身体を動かすことが習慣化されている人には共感していただけると思うが、それができなくなる事は相当なストレスである。しかし、それが本人でなくても、もしもジム内で感染が発覚した場合、当然利用者が全て洗い出され、場合によっては各人が隔離措置となる。勤め人ならば当然会社に連絡が行き、そこから芋づる式に関係者が探られる。家族も。そもそも外出自粛の最中、なんでジムに行ったんだ、というある意味で無責任な者として扱われる。

これは非常に社会的なダメージを受けるリスクが高いし、ジムに行けない事の10倍はストレスがかかるだろう。 最初は休会を考えたのだが、映画のように数ヶ月のうちにこの状況が全くクリアになるとは思えないため、退会申請をした。

書類にサインをしているその側では入会申請をしている若者がいた。恐らく学生か何かだろう。批判するつもりはない。社会的責任の無い立場は本当に羨ましい。私もこういう時期があったな。

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ここ数日は人混みを避け妻と軽い散歩をしたり、その道中で桜の写真を撮ったりした。そして自宅でなんとかトレーニングができないものかと注文したのがチューブ。私のように筋肥大を目的とせず、筋力維持を目的とするならこれで十分な強度がある。YouTubeなどでも自宅トレーニング動画が流行っている。フィットネスにおけるパラダイムシフト。

1日でも早い状況改善を望む。

 

風吹き荒れる中禅寺湖(奥日光遠征)

例年3月は妻と1泊旅行をするのが恒例で、北関東を中心に車で3時間圏内を散策していたのだけれど、このご時世、やむなくキャンセルをした。

そのかわりに1人で奥日光へ日帰りで行くことにした。まだ自粛要請が出る前の話である。まあ湖の写真を撮るだけだしクラスター3要素には当てはまらないだろう。持参したのはハッセルと CANON RP。フィルムは Agfa Copex Rapid と Kodak Portra。

サービスエリアで休憩を挟みながらおよそ2時間半、日光道へ到着。午前の早い時間帯で道中はかなり空いており、いろは坂はワインディングを楽しめる程にガラガラだった。スバルの四駆は素晴らしい安定感で山を駆け抜ける。

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いろは坂にて

奥日光に行くのはこれで2回目、前回はおよそ10年前。思えば生活に少し余裕ができた頃で、ナビもついていないオンボロの軽自動車で妻を乗せて湖畔をドライブした。

中禅寺湖南西の駐車場に車を停めて機材を下ろす。しかし寒い。ここ数日首都圏では暖気が流れ込んでおり春の陽気と勘違いしていた。風が吹き荒れており、念のために持ってきたコートとウィンドブレーカーを重ね着しても凍えるほどだった。しかし天気は良く、時折青空が顔を覗かせる。

Icicles

三脚にハッセルを固定しファインダーを覗く。美しい。ND-1000フィルターで露光を長くし湖の荒波を鎮める。

Lake Chuzenji (Chuzenjiko)

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ND-1000 / 10 sec

数枚撮影したが、どうにも寒すぎる。手が震え、鼻水も出てきた。身体を動かしたほうがよさそうだ。

一旦車に戻り CANON RP を片手に散歩をしながら目についたものを切り取る。平時がどうなのかわからないが、歩いている人はほとんどいない。

少し早い時間だったが、湖畔沿いの蕎麦屋湯葉蕎麦とおいなりさんを食べた。とても美味しい。

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湯葉蕎麦。心まで温まった。

客は私一人で愛想の良い店主と少し会話をした。昨日はもっと風が強かったらしい。例の騒ぎで観光に影響が出ているのか知りたかったが、そんな野暮ったい事を聞くのはやめておこう。 礼を言って店を後にする。

 

その後再び車に戻りハッセルにポートラを詰めてカラー撮影。

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独特のフレアが神々しさを演出する。Distagon C60 F3.5

実は今回初めて気づいたのだが湖周辺はフランス、イタリア、英国など外国の大使館別荘地だらけである。避暑地としてここで過ごすのだろう。そう思えば湖へと続く裏道がニースの街並みのように見えてくる。

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昼過ぎに湖を後にする。気温も高くなり中心部ではかなり人が増えてきたようだ。なんだか少しホッとした。

また状況が改善したら旅館に泊まって湖に映る夕日でも見ながらゆっくり過ごしたいと思う。

 

https://www.instagram.com/p/B-dHgk6j8Ys/

 

 

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魅惑のフィルム

相変わらずフィルムで撮っている。

レンズやカメラに対して倦怠期という時期で、その辺りにはどうにも楽しみを見出せ無くなった。これまでの金銭的な負担も大きく、計算するのも恐ろしい。幸いなことにローンは無い。買えないものは買わない、買える範囲で買う。いわば沼でこびりついた泥を洗い流して、ヌルめの湯に浸かっているような気分である。

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かつての相棒達

ふと思い立って高解像度フィルムを手に入れた。Agfa Copex Rapid 120。

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これまで高解像度フィルム(低感度)はあえて避けてきた。理由は単純で、その低い ISO がスナップ的な撮り方にそぐわないためである。日中なら問題ないが、ISO20 や 50 では F1.4 でも手持ちの室内撮影はほぼ不可能。個人的には ISO400 がベストで、これに 1/60 F2.8 を基準としてオールマイティに撮影できる。

最近、腰を据えて中判カメラで撮る機会が増えた。普通のサラリーマンのため撮影機会がそうそうあるわけでは無い。それならば撮るときはどっしりと構えて、いわゆる三脚+レリーズ、で作品を残そうという感じである。

フィルムが到着した。早々にハッセルに詰めてみる。なんだかウキウキする。まるで新しいカメラを購入したような気分だ。よく考えればフィルムはデジカメでいうセンサー。フィルムを変えることは新しいカメラを買う事と相違ない。

日中の室内、自然光の下絞れるだけ絞って、20秒近く開いた。

Flowers

現像液は Spur。注意深く26度まで温度を上げる。出来上がったネガを見て、その美しさに息をのむ。そしてスキャンしてニヤける。

Flowers

サスティナブル(持続可能)、という言葉が思い浮かんだ。写真という趣味を長続きさせるためには急がない事。そして散財しない事。カメラ、レンズだけではなく現像液、フィルム、もちろん被写体など違う視点から包括的に捉える事。

Dried Flowers

撮影から現像まで何から何まで時間がかかったが、同時に新しい感覚を覚えた。やっぱり、この趣味は楽しいね。

 

Magnum Contact Sheets

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続編:ストリートフォトについて思うこと

「〇〇さん、写真撮ってるんでスよね、これってどう思いまスか?」

職場の男の子(といっても十分に成人だけれど、私からすれば20代は男の子に見える)、がそういってスマホの画面を見せてきた。 写っていたのは例のアレである。現状公式では削除されているためここではURL等は載せないが、X100Vのプロモーションビデオで写真家の鈴木氏がストリートフォトを機敏に撮っている動画だった。

以前書いたように私はストリートフォトを撮らない。撮りたいという気持ちはあるが、上野のアメ横で魚屋の店主がハチマキを巻いて一生懸命マグロを捌いている、いわゆる暗黙のパブリック可写真程度が限界で、知らない人の喜怒哀楽を正面から写すなど頼まれてもできない。

誰にも真似できないことをする事が芸術ならば鈴木氏の写真は大変に価値があるだろう。実際に氏によって撮られた写真を見てある種の感動を覚える人々が古今東西いるのは間違いのない事実であるし、芸術とは元来そういった需要で成り立っている。

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Paris

実はこの問題動画が上がる前、氏のストリートスナップの動画を見たことがあった。場所は海外で、氏は軽快にすれ違う人々をスナップしていく。時に罵声を浴びせられることもある。そんなことはお構い無しに撮影を続けていく。ある意味で衝撃的な映像だった。もちろんもっとすごいのは探せば沢山あるけど。

そして、こうも思った。やろうと思えばGoProなどを胸に付けて人々に出来るだけ近づきながら街を歩き、後でキャプチャーとしてレタッチでもすれば一定の取れ高はあるだろう。しかしそれでは被写体本人が撮られた事に気がつかないため、いわば盗撮になってしまう。

それよりもあえて正面からカメラを構えることで被写体にされた人は明らかに撮られた事に気づく、そしてその行為後に異議を唱える時間的余地がある。もちろん沈黙は承諾とみなすとは思わない。ただ、隠し撮りよりはまだマシ、というだけである。

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Paris

要するにこのジャンルの写真を成り立たせるためには現状、鈴木氏のような撮り方しか方法がないのではないか、それ以外の方法では、例えば300mmのレンズでビルの上から渋谷交差点を狙えばいくらでも類似の写真は撮れるが、やはり本人が気づいてないため盗撮になってしまう。

今回の動画の最大の問題点は一般受けしない内容を一般向けに公開した事だろうと思う。個人的には氏の撮影過程はずっとブラックボックス内で、作品のみを公開すれば良かったのではと思う。こんな事で氏が心無い批判に晒されるのはあまり心地よい事ではない。

なんでもそうだけれど、個人的には芸術家や有名人は舞台裏(私生活など)を公開しない事、これが人々に夢を与える偶像(アイドル)なのではと思う。

「今の時代にはそぐわない映像だね」と彼には伝えた。

 

《追加と訂正》

記事の中で盗撮という言葉を用いていますが、犯罪とされる行為の盗撮ではなく、あくまで辞書レベルでの盗撮という意味です。

興味があれば以下参考にして下さい。

何れにしても鈴木さんが大ダメージを食らったのは大変問題で(Twitterも削除など)、なんだか『いつでもどこでも誰でも簡単撮影』を謳う富士フィルム自らがパンドラの箱を開けてしまったような気がしています。

 


 

【50mm編】ライカMマウントレンズまとめレビュー

50mmの画角は嫌いではないが、特に好きでもない。常用かと言われればそうでもないし、全く使わないわけでもない。標準と呼ぶにしてはやや狭いし、被写体を強調するには広すぎる。無個性のようで時々ハッとするような、直感に訴えかけてくる絵を描くことがある。

私にとって50mmは"秋風のような存在"だが、意識せずにはおけないものだ。

50mmの利点(利点というのも変なのだけれど)としては比較的明るいレンズがコンパクトなサイズと価格で手に入るということで、バリエーションも豊富である。これまで使ってきたライカMマウント50mmレンズをレビューしたい。

Leica Elmar 5cm F2.8 (M-mount 1st)

"やはりエルマーだね"と誰かが言っていたような記憶があるが、新古様々なレンズを使った後ではなんとなく分かる気がする。控えめなF値による解像度の高さと安定感、それでいてオールドな、斜光をディフューズする思いやりも持っている、そんなレンズ。沈胴式は実用性、遊び心に優れ、撮影毎に撮る楽しみを与えてくれる。

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Leica M3

このレンズ、当時5万円程度で購入したのだが、無限が出ないという初期不良で返品することになった。よって作例は数枚しかないがそれでもなんとなくいい想い出のレンズ。ちなみに現行で再発モデルが新品で買えるので特にこだわりがなければそちらの方をお勧めする。

Leica Summarit 50mm F1.5  (L)

当時にしては開放F1.5はかなり明るいレンズで、フィルムしかない時代には特に重宝されたレンズであろう。その反面、開放の描写は独特で、いい意味でアーティスティック、悪い意味では盛大なフレアが出てとても使い物にならない。

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GINZA Leica M3

かなりしっかりした作りで、重量もある。ずっしりとした重みは歴史を残そうとした当時のカメラマン達の覚悟そのものかもしれない。個別レビューもあるので参考にしていただきたい。

Leica Summicorn-M 50mm F2 (4th)

イカレンズのうちズミクロンの銘が付くレンズの描写は本当に、何の文句もつけられないくらいどれも大変素晴らしい。そこにあるありのままの現実を、なんの誇張もなくフィルムやセンサーに焼き付ける。コンパクトで軽く、かと言ってチープさは微塵もない。明るさもF2と常用では十分すぎるもので、日常スナップにも長期の旅行にも余裕で対応できる。

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Leica M6

本モデルに関していえば埋め込み式のフードが使い勝手が良い。全てのモデルを使ったわけではないが、解像度や描写はシャープでなんの不満も見当たらない。反面遊び心にかける。シリアスなドキュメンタリー撮影向きのレンズと言えるだろう。

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一応、個人的な経験からの補足としては、このレンズ、女性ポートレートには向かない。猫の毛並みの描写は歓迎されても貴婦人の産毛まで描写することは大いに歓迎されない。ポストプロセスでクラリティー(Clarity)を下げるなどの工夫が必要だろう。

Leica Summilux-M 50mm F1.4 (2nd)

50mmといえどF1.4クラスになるとそこそこサイズや重さが増える中、このレンズはありえないほどコンパクト。それはズミクロンと比べても大きな差はない。描写は一口で言えば、透明感があり柔らかい。開放では穏やかなフレアが出るが、それが大変魅力的で女性ポートレートには最適だろうか。

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Leica M3

問題なのは中古市場価格と状態で、場合によっては現行モデルの中古と変わらない価格にまで上昇している。やはりオールドレンズ特有の危うさがあるため大切にメンテナンスしながら趣味で楽しみたい方にはお勧めだが、デジタルである程度シリアスに撮影したい方は現行モデルの選択が良いだろう。

Leica Summilux -M 50mm F1.4 ASPH.

現行モデル。描写は開放から実用域。とにかく良く写る。ライカレンズに何を求めるか。オールドもいいが "どんな状況でも正しく写す" というのも大変重要かと思う。

私のようなフィルムユーザーにとっては実用面で明るいF値が必要なことが多く、時には描写と引き換えにしてでもとにかく明るいレンズを求める傾向がある。そう言った意味で明るく、描写もいいこのレンズは常用レンズとしても大変に価値が高い。

ISOが無限に上げられる(フィルムと比べれば無限と言っても差し支えないレベル)デジタル機ならその開放値から生み出される優雅で均一なボケで女性ポートレートの次元を数段上げるのも良いだろう。

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Leica M6

Carl Zeiss Planar 2/50 ZM

Zeissレンズのイメージはそのロゴカラーが示す通り青。冷たい青、暖かい青、水色、空色、青藍などなんでも良い。とにかくどのレンズも描写は大変素晴らしく、クールに、透過性良く結像する。ズミクロンのほうがやや柔らかい印象を受けたが、それもまた面白い。

コストパフォーマンス重視の方にとってはズミクロンに比べ圧倒的に優っているため、50mm常用レンズとして是非お勧めしたい。

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Carl Zeiss C Sonner 1.5/50 ZM

実はズミルックスを差し置いて、最もお気に入りなレンズ。このふわっとした開放の写りには毎回ため息が出るほど。光の描写が美しい。一見すると有害な短波長領域を光に照らされた繭糸のような純白の輝きに変えてしまう。

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もちろん絞れば通常の50mm。どのレンズにも劣らないZeissクオリティー。最短撮影距離が1mのためテーブルフォトにはやや工夫が必要だが、とにかく魅力的なレンズ。ズミルックスを検討しているのならば是非一度試していただきたいレンズ。

 

総括

冒頭でお伝えした通り、私にとって50mmは常用レンズではない。しかしなぜか時々使いたくなる、そんな不思議なレンズである。参考にしていただけたら幸いである。

 

 

誰がためにフィルムで撮る For Whom the Film Is Taken

写欲は一向に戻らない。最後に記事を投稿してから撮影したのは120フィルム2ロールのみ。猫と花と、正月の家族写真。

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元日の猫 Hasselblad 500C/M CF100mm F3.5

以前から気になっていたZINE。撮りためた材料も集まった事だし、そろそろ1冊、というわけで FUJIFILM で MAGAZINE を作成してみた。

pg-ja.fujifilm.com

フィルムをスキャンしてデータ化したものをオンラインで送信注文。10日後に仕上がった。ハードカバーのタイプなど様々なものがある中で今回は一番薄くて大きいA4サイズの MAGAZINE。画像は全てハッセルで撮影したスクウェア

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PhotoZINE MAGAZINEタイプ A4サイズ

モニター上での色味と印刷は異なるのが普通だが、そこはさすが FUJIFILM、かなり綺麗に仕上がっている。プライスも2000円程度で、個人的にはかなり満足している。

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自動補正なし。モニター上の色味と遜色ない。

一度スキャンしているため中判フィルムの恩恵は全く受けていない。つまり引き伸ばし耐性は関係ない。この状態ならおそらく APS-C デジカメでフィルム調に加工しても見た目はあまり変わらないだろう。妙な考えが頭をよぎる。フィルムで撮る必要があったのかな、と。(GR II ↓ B&W で加工)

Milano

Isola Superiore

『誰かがフィルムで撮らないと、フィルムはこの世から無くなってしまうだろう』 海外の記事で偶然出会ったフレーズ。救世主になるつもりはないが、一つの考えとしては共感できる。しかし私はフィルムで撮った写真はネガやポジとして残る事、これが最も重要だと考える。光による化学変化でフィルムに像が浮かび上がる。それは全く電気的な要素が関与していない、今そこにある存在そのもの。

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Hasselblad 500C/M CF100mm F3.5



個人的には、撮りためたネガやポジフィルムは画家が大量のデッサンを残すのと同じ価値があると考えている。そんな過程を経ていつか自分自身や大切な家族のために作品が出来たら素晴らしいと思う。

 

2020年 新年の挨拶にかえて

 

 

 

 

少し休息が必要かもしれない

海外から戻ってきてめっきり写欲が失せてしまった。 理由は分からないが、率直な気持ちを言葉にすれば撮りたい対象が無い、ということになる。

家族(といっても妻と猫の3人暮らし)の写真を撮るのは大変意味のあることだが数年後に見直して「なんか若いねー」程度の楽しみならば年に1枚くらい撮っておけば良いと思うし、家の近所については救いようがなく、そもそも東京郊外の都市においては基本的に撮るものは何もない。アーウィットのように近所を歩き回り犬の面を被った(正確には犬そのものなのだが)被写体を撮影するチャンスや度胸も私にはない。

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Hasselblad 500C/M Milan

海外のフォトグラファーのブログに書かれていた。

「普段は滅多に写真を撮らない。しかし撮るときはフィルム100ロール近く撮る。そしてその期間は1年のうちわずか1ヶ月程度」

 

つまり国内、海外を含めた特別な遠征を年に1回程度するということだろう。なるほど、そういう楽しみ方もあるのか。

 

一方ソール・ライターは「写真を撮るのに地球の裏側まで行く必要はない」と述べていた。実際ライターはニューヨークを拠点に、自宅周辺数ブロック内を散歩しては素晴らしい写真を残してきた。

そりゃニューヨークに住んでいれば、ね、というツッコミは抜きにしても、写真を撮るのに遠出する必要はないという考えには只々感心する。

 

結局自分自身の問題なのだろう。ある被写体を芸術と呼べるレベルまで引き上げることのできる写真家はプロ・アマチュア問わず間違いなく存在しており、そういう人はただのゴミ箱を撮影しても「なんか、良いよね」と人々を感動させることもできる。

それを探し出すだけでも写真集やWebの写真(もちろんはてなブログの皆さん)をみるのは楽しいものであるし、それらの刺激を受けてまた写欲が戻ってくるといいなと思う。

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Geneva

さてと、季節の変わり目。少し休息が必要か、な。

 

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