Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

悩ましいズームレンズ

私の撮る写真のほぼ100%が単焦点で撮られたものである。

特に自慢することでも、自分の覚悟を宣言しているわけではないし、単焦点じゃないと良い写真が撮れない、などと思っているわけでもない。

ただ自分の撮影スタイルとして単焦点が性に合っていた、ということだが、そこにはやはりライカの影響が強いのは否定はしない。

思えば某有名カメラ量販店で中古のズミクロン35mmを取り寄せて受け取りに行った際、店員さんに

「状態は良いと思います!ズームリングもスムーズに動きますので...」

と言われたことがあるし、同様に中古のズミルックス50mmの場合では、M6をカバンから出した私に、

「お手持ちのカメラにレンズを装着してファインダー像を確認されますか?」

と提案されたこともある。

両方とも可愛らしい女性店員さんだったので、「よろしくお願いします!」とこちらも大人な対応をした(カメラ店の店員としてはもう少し知識が欲しいけど許す)のだが、やはり単焦点レンジファインダーはメインストリームから外れた、ひっそりとした薄暗い森の渓流に沿って進む美しい落ち葉のようなもので、諦観するしかないのかと思ったりしたものだ。

※無論M型ライカのレンズにズームは無いし、どのようなレンズをつけてもファインダー像は変わらない

話を戻そう。

このように単焦点ユーザーの私であったのだが、最近ズームレンズを使う機会があり、単焦点にはないその利便性を強く感じる出来事が多く、少し興味を持っている。

今の勤務先にはカメラが置いてあり、そのいわゆる業務用カメラは中古のEOS 6DMKIIで、レンズは中古のタムロンのSP 28-75である。

ちなみにこのセッティングを提案したのは私で(たまたま私がカメラに詳しかったから)、会社としてもなるべく安くて性能の良いカメラとレンズをという希望があったし、さらにそもそも私はカメラ担当ではなかったので、誰が撮影担当になってもいいように利便性と二次利用を重視してズームレンズそしてフルサイズを選んだわけである。

もし私がカメラ担当になっていたら、ハッセルブラッドX2D 100C とレンズはXCD 2,5/38Vあたりをシレッと計上していただろう。 もちろん通るわけはないのだが、経理から「桁間違えてないですか??」と内線があるかと思うとニヤケが止まらないのである。ようこそ沼の世界へ!

それで、最近どういうわけか私が会社でカメラ担当となることが多く、望まずとも自然とズームレンズを使うようになったのだが、最初は非常に戸惑った。

まず画角と距離感が掴みにくい。 単焦点ならば被写体に対して立ち位置を決めてから前後移動をして構図を追い込んでいくのだが、ズームは文字通りリングをねじれば画角が変わる。

これが難しい。

要するに、自分が動くのか、リングをねじるのかの判断に戸惑うのである。

明らかに撮影距離を稼げない場所で、背中が壁に接触しており、それでも被写体を広く撮りたい時などはワイド側へねじるしかないのだが、そうでない場合は、足を動かすべきか、手を動かすべきか、それが問題で、結果として撮影がワンテンポ遅れてしまう。

それでも何度か撮影を繰り返すうちにズームレンズにも慣れてきた。そして慣れると本当に便利である。

 

まず大抵のシチュエーションで困ることがないし、そもそもレンズ交換が必要ない。思えば職業的カメラマンで、特別な企画を除いて、単焦点のみを使うのは聞いたことがない。当然といえば当然か。

そしてレンズにもよると思うのだが、想像していたよりズームレンズは画質が良い。このタムロンSPもそうである。数万円のバーゲンプライスで買えるこのレンズ。これなら十分に及第点である。

まあそんな感じでズームレンズをプライベートでも使ってみたくなったのだが、プライムレンズに慣れ過ぎているとF2.8通しと言われても、たかがF2.8?となってしまう自分がいて(しかも重くて高い!)、なかなか踏み込めない世界である。

先月旅行に行った際には24mm単焦点のみ持参して大変満足したのだが、もっと望遠が欲しいと思った瞬間は何度かあった。

The things that make me happy

うーむ、ズームレンズ、悩ましい。

ちなみに、社内で撮影を終えた後、EXIFでズームレンズの焦点距離をみると28mm/35mm/50mmが多くて思わず笑ってしまった。もちろん焦点距離は撮影中に意識していない。

単焦点で身についた画角はなかなか取れそうにない。

思えば、これまで、人生も含めて単焦点ばかりだったので、そろそろズームでもいいのかな。視野も広がりそうだし。なんて。