Cure of GAS

Castle Rock Photography

日々について淡々と書きとめてます。

最近手ぶれ写真が増えたことについて

ここ数年撮った写真を見返してみると、手ぶれ写真が多いのに気がつく。

それは本当に僅かなズレで、恐らく等倍でみる分にはそれとわからないだろう。

しかし一応長年、ポジフィルムをルーペで覗き込むようなことをしていると、この何ともいえない違和感を覚える。

いわゆる絵が眠たいのだ。

そう、何とも言えずまったりとした、芯のない平面的な、光の散乱が多い、いわゆるヘイズ(Haze)値高めの白濁に似た、解決できない何か。

試しにピクセルピークしてみるとやはり細かくブレている。

シャープかそうでないかは問題ではない。多少合焦がずれていてもブレがなければこのようには感じない。

原因は単純なことで、特に手ぶれ補正のついたレンズを装着した時の撮り方がかなりいい加減になっているためだ。

近年のレンズのほとんどには手ぶれ補正(IS機能)が付いているし、ボディでも中級クラスになると6段から8段近い補正機能が当たり前のように組み込まれている。

単純計算では、例えばフィルム撮影時、横っ腹が痛くなるほど脇を締めてISO400 F2.8 ss1/4で、文字通り息を止めて夕暮れ時のジュネーブを撮影していたのが、6段手ぶれ補正付きのレンズやカメラならなんと1/250で撮影したのと同等となる。これでは緊張感がなくなっても無理はない。

Night in Geneva

息が吸えるのはありがたいが、ついつい構えが疎かになってしまう。 おまけにモニター撮影が多く、ファインダーすら覗かない。

EOS RPやR8程度の重さなら片手で、GRのようにサクサク撮影してしまう。 レンズにはIS機能が付いているが、これは角度ブレに強いだけで、被写体とセンサーとの光軸が安定していることが前提となる。

よってカメラが水平や垂直に、時に回旋運動をしようものなら全く意味がない。言わずもがな、片手でサクッと撮影する動きはまさに上記の悪き例そのものである。

もちろんカメラボディに付いている手ぶれ補正はこれらの問題点すら克服しているように(あくまで商品のアピールポイントとして)記載はされているが、個人的な意見としては、手ぶれ補正はあくまで補正であって、そこには基本的なカメラホールドがあってこそ、ほんのわずか、例えば先ほどの、ss1/4ならば息を止めなければブレてしまう状況下で、息が吸える、といった感じなのではないだろうか。

実際、手ぶれ補正などない時代の写真の方が、ピンがしっかりとしているし、ある種の意気込みのようなものが感じられる。

それなりの緊張感をもって、ファインダーを食い入るように覗き込み、合焦点で本当に息を止めて、脇でシャッターショックを受け止める、それが、撮影するという行為なのかもしれないと、35mmレンズでF11、シャッタースピード1/125で撮影された手ぶれ写真をみて猛暑のおり、薄めのグリーンティーを飲みながら反省する。